例えば、留学ビザや就労ビザの更新で不許可になった場合や、留学から就労ビザへ変更の申請をしたけれども不許可になってしまった場合に、もう一度同じビザを申請するのではなく、「家族滞在」に変更することができるか、というご質問をよくいただきます。「家族滞在」を申請していて不許可になった場合も含め、再申請できる場合とできない場合があります。今回は、日本に在留している外国人が不許可になってしまった場合の対応について解説します。
不許可になった場合、再申請できますか?
回答:再申請できる場合とできない場合があります。
再申請をして許可されるには、「不許可になった理由」を解決することが必要になります。
不許可の時は、入管に呼び出されます
不許可になった場合、入管から「お知らせ」が届きます。行政書士などの代理受取が不可で、本人が来るように書かれている「お知らせ」は不許可の可能性が高いです。
よく言われていることとして、絶対ではありませんが「はがき」で来るお知らせは「許可」の可能性が高く、「封筒」で来るお知らせや入管への出頭日時が指定されている場合は「不許可」の可能性が高いものになります。
以下のようなお知らせが来たときは、入管で不許可の理由を聞くことになります。
不許可になった時に在留期限が残っている場合
在留期限内であれば在留は可能であり、再申請をすることも基本的には可能です。
在留期限内に申請し、その後在留期限が到来した場合は自動的に2か月間の特例期間に入ります。この特例期間内に必ず申請の結果は出ます。
不許可になった時に在留期限が残っていない場合
特例期間中に不許可になってしまった場合、不許可の理由を聞いたその場で「特定活動(出国準備)」に変更をすることになります。「特定活動(出国準備)」の場合、在留期限内に申請できる場合とできない場合があります。申請ができない場合は、帰国をせざるを得ません。
「特定活動(出国準備)」中に申請を行った場合、在留期限経過後は自動的に2か月の特例期間に入る場合とそうでない場合があります(場合によって対応が異なります)。もし特例期間に入る場合には、この期間内に必ず申請の結果は出ます。不許可の理由を払しょくできていれば、許可になる可能性はあります。もし、また不許可になってしまった場合は「特定活動(出国準備)」を再度もらうことになります(これも場合によります。必ず入管の指示に従ってください)。
ここで帰国をすることになった場合、呼び寄せるための「在留資格認定証明書交付申請」を行うことができます。2回不許可になった後、一度帰国し、3回目の認定申請で許可になるような事例もたくさんあります。
不許可の説明を聞くときのポイント
再申請が可能な場合というのは「不許可になった理由を解決できるかどうか」にかかってきます。言い換えると、何度不許可になっていても、不許可の理由が無くなれば許可を得られる可能性があるということです。
この再申請が可能かどうかを見極める大事な機会が「不許可を言い渡される場」になります。ここでは不許可の理由を聞くことができ、また質問をすることができる貴重な機会です。
再申請をして許可を得るポイントは、この不許可の聴き取りにあります。不許可の聴き取りで必ず聞くべき点は以下の3点です。
- 再申請をすることが可能かを聞く (←この部分が最も大事です)
- よくなかった部分や説明が足りなかった部分を聞く
- 具体的にどの部分を改善すれば再申請が可能かを聞く
特に、「再申請をすることが可能かどうか」を尋ねると、審査官は「一度帰国し、その後申請をしたほうがよいのか」、「在留期限内に再申請をして許可の可能性があるのか」を教えてもらえます。不許可の理由次第では、一度帰国するべきこともあります。
不許可となってしまった場合、よくなかった部分や説明が足りなかった部分を確認し、基本的にはその部分を改善することができれば許可を得ることができます。そのため、不許可の理由の聞き取りでは「よくない部分・説明不足の部分」を聞き、「どうすればよいのか」をしっかり聞きましょう。
再申請で家族滞在を申請する場合の申請のポイント
再申請で家族滞在を申請するときは、不許可になった理由を解決できるかどうかが重要です。解決できれば許可される可能性は高いですし、解決できないこと(過去の在留状況が原因で不許可になった場合など)は反省文を付けることで許可される場合もあります。
再申請するときの大原則
一度不許可になって、再申請をする場合には許可を得るためには「不許可となった理由」を取り除かなければ許可はもらえません。このため、不許可の理由を聞いて「再申請をすることが可能か、どのようなことを説明すれば許可されるのか」を確認することは、再申請をするうえでとても大事なことになります。
繰り返しになりますが、同じ在留資格(ビザ)をもう一度再申請するにしても、申請する在留資格(ビザ)を家族滞在に変えるにしても、「不許可となった理由」を解決しなければならないことは同じになります。
留学や就労ビザといった在留資格から家族滞在に変更する場合は、そもそも「活動目的」が違うため、申請する在留資格を変えることで原因が解決する場合もあります。(ただし、「家族滞在」が許可されれば、今までとは違う活動を行うことになるので注意が必要です)
問題は、不許可の理由が「あなた」にある場合です。例えば、留学生でオーバーワークをした場合など、真面目に日本で生活をしていないと思われたときには、「不許可となった理由」を解決するためには「一度出国をする」以外の方法がない場合もあります。
つまり、「不許可となった理由」が解決する場合は、再申請で許可をもらえますし、解決できない場合は何度申請をしても不許可になる可能性が高い、と言うことになります。
・婚姻が成立していること(妻・夫の場合)
・扶養をする能力があること/扶養を受けること
・同居をすること
などが挙げられます。この後に説明する内容は、どの事例についても「家族滞在」を申請する場合には、これらを既に満たしているということが前提になります。
家族滞在ビザへの変更が不許可になって、もう一度申請をする
「家族滞在」が不許可になる場合、理由は「あなた(申請人)」か「扶養者(就労ビザで働く家族)」のどちらかにあります。
理由が「あなた」にある場合は、多くの場合で今までの在留状況(オーバーワークをしていないか、など)があると思います。この場合は、反省の意を示して(反省文を書いて)申請を再申請をしても不許可になる場合は、一度帰国をするしかありません。あまりにも悪質な場合は再申請のチャンスももらえないということもあると思います。
理由が「扶養者(就労ビザで働く家族)」にあるときは、例えばお仕事内容が適切なものでないときや、家族で日本で住むには収入が少ないと判断された場合などがあります。これも解決はすぐにするには難しいと思いますが、解決ができれば再申請をする方法はあります。
留学ビザの更新が不許可になって、今度は家族滞在を申請をする
留学ビザが不許可になる場合、色々な理由があると思いますが、多くの場合で「オーバーワーク」や「学校に通っていない(出席率が低い)」といったことが原因ではないでしょうか。これは、過去に起きたことなので、「不許可となった理由」を解決することはできません。
この場合には、「家族滞在」で申請をした場合、しっかりと反省をしたうえで反省文などを添付するなど対策を取ることで許可がもらえる場合もありますが、悪質な場合には、一度出国をしてから改めて入国をしない限り許可をもらえない場合があるでしょう。
※「オーバーワーク」などの在留不良を指摘された場合は、一度出国をするように言われるのが普通です。
※この項目は、留学が不許可になったために、日本に残るために「結婚」をして家族滞在を申請することを推奨するという意図ではありません。
就労ビザへの変更が不許可になって、今度は家族滞在を申請する
就労ビザが不許可になった場合、原因は「あなた(申請人)」にある場合と、会社や業務内容といった「あなた(申請人)」に無い場合があります。
業務内容など会社が理由に不許可になった場合、それが原因で内定取り消しになった場合などで、在留目的が変わった場合(就職をあきらめ、結婚生活を始める場合など)は、「家族滞在」を申請する余地はあると言えます。
不許可になった原因が「あなた(申請人)」の場合は、今までに説明した通り、反省の意を示すことで(反省文を書くことで)許可をもらえる場合があります。ただし、やはり一度出国をしない限り許可されない場合もあるでしょう。
※この項目は、就労ビザが不許可になったために、日本に残るために「結婚」をして家族滞在を申請することを推奨するという意図ではありません。
反省文はどのようなことを書けばよいの?
反省文はただ謝ればよいものではありません。反省の意に加えて、当時の状況についての説明や、何故そのようなことをしたのか、これからそのような行為を繰り返さないための対策方法などを丁寧にまとめます。ここで真実が書かれていない場合(入管が把握している状況と、文章の内容に差異がある場合)には、再申請をしても許可は出ません。
これは一度出国した場合でも同じで、「在留状況が悪かったこと」を指摘されて出国したのであれば、再申請の際には事情説明を含む反省文を付けなければ、最近では許可されないことも多くなっています。
家族滞在は許可が出やすい?
就労ビザと比べて家族滞在は許可が出やすいですか?とよく聞かれますが、基本的には要件を満たしていれば、どの在留資格も許可は出るものなので一概に比較をするのは難しいと言えます。
他の在留資格の申請で不許可になった場合でも、家族が一緒に生活をしたいと望むのであれば、「考慮される」という側面はあるのは事実です。例えば、当事務所ではオーバーワークが原因で留学ビザの更新や就労ビザへの変更が不許可になって、「特定活動・出国準備」に在留資格が変わった場合などでも、その後「家族滞在」への変更を行って許可が出た事例がありました。ただ、それはたまたまその時は「許された」だけかもしれません。いつでも許可が出るわけでは無いかもしれませんが、事情次第では1回不許可になった場合でも、許可が出る可能性はあります。
繰り返しになりますが、いずれの場合にも日本に残るために偽装結婚をする場合することは認められませんし、再申請をしたところで許可にはなりません。
まとめ
以上、不許可になった後に家族滞在を申請する場合について説明しました。
基本的には、どのような場合でも再申請の基本は「不許可になった理由」を解決した上で申請をすることになります。これは、家族滞在が1度不許可になって再申請する場合においてでも、別の在留資格(ビザ)の申請が不許可になって再申請をする場合でも、同じになります。ただし、過去に起きたことを変えることはできません。その場合にでも申請する在留資格(ビザ)が家族滞在の時には、反省の意を示すことで許可される場合があります。