日本人と外国人が国際結婚をした場合、原則として夫婦は別姓となります。日本の法律では、日本国籍のまま外国人パートナーの苗字を名乗ることを認めています。この場合には手続きを行って変更をします。また、外国人パートナーが日本人の苗字を名乗ることや、複合姓を名乗る方法もあり、手続きについて解説をします。
国際結婚した場合の苗字(姓)の選択肢は3つ
国際結婚をした場合、「夫婦別姓」「パートナーの姓を名乗る」「複合姓を名乗る」の3つの方法があります。
国際結婚と苗字・氏の原則について
日本には「戸籍」があるため、日本人同士の結婚の場合には、夫婦は一つの戸籍がつくられます。一つの「戸籍」につき苗字・氏は一つですので、日本人夫婦の場合は同じ苗字を名乗ることになります。
この「戸籍」がつくられるのは日本国籍の方のみになり、外国人には戸籍は無く、これは日本人と結婚した場合にも同じになります。
このため、日本人と外国人が結婚した場合、特に手続きをしなければ日本人の苗字が変わることはなく、夫婦別姓となります。ただし、手続きをすることで外国人の姓を名乗ることが可能となります。
苗字(姓)の3つの選択肢について
前項で説明した通り、外国人には「戸籍」が無いため、日本人と外国人が結婚した場合には、手続きなしに同じ苗字になることはありませんが、手続きをすることで「夫婦別姓」のほかに「相手の姓になる」「複合姓になる」こともできます。
・相手の姓を名乗る
・複合姓を名乗る
外国人配偶者の苗字を名乗る場合
日本人は日本国籍のまま外国人パートナーを姓(ファミリーネーム)を名乗ることができます。
どのような状態か
日本では外国人と結婚した日本人は、外国人パートナーの姓を名乗ることができます。この場合、日本国籍のまま相手の姓(ファミリーネーム)を名乗ることになります。ただし、外国人パートナーの姓以外を名乗ることはできません(結婚を機に関係のない方の苗字に変えると言うことはできない、という意味です。)。この場合、日本人の戸籍を変更することになるので、本名が変わるという意味になります。ただし、日本で名乗ることができる表記にはルールがあり、アルファベットなどはカタカナにするなどする必要があります。
どのような手続きが必要か
外国人パートナー者の姓を名乗る場合、婚姻後6ヶ月以内であれば市町村役場に「氏(姓)の変更届」を提出します。もし、6ヶ月を過ぎてから手続きをする場合には、家庭裁判所での変更の申し立てが必要です。この場合には、申し込む人が居住する地域を管轄する家庭裁判所への申し立てをします。
日本人配偶者の苗字を名乗る場合
外国人が日本人パートナーの苗字を名乗るためには、母国の法律次第では変更になる場合(母国での本名の変更)と、通称名を登録する方法があります。
どのような状態か
外国人が日本人パートナーの苗字を名乗る場合、まずは母国の法律を確認する必要があります。日本人が外国人と結婚した場合は、原則は夫婦別姓になりますが、母国の法律で苗字が変更になるのであれば、変わる可能性があります。この場合は、外国人パートナーが本名が変更になることを意味します。
母国の法律で国際結婚の際に苗字が変わらない場合には、日本人パートナーの苗字を名乗る場合には、日本だけで使用ができる「通称名」を登録することになります。
どのような手続きが必要か
母国で苗字が変更になる場合(本名が変わる)場合は母国での手続きになります。通称名を登録する場合は日本の役所で申出をします。
そもそも母国で苗字が変更になる場合
外国人パートナーの母国のルールによって苗字が変わる場合、母国での手続きになります。各国の法律に従って手続きを行います。その後、日本人パートナーの戸籍の配偶者の名前の欄を変更を行います。婚姻後に本名が変更になったことが分かる書類を揃えて「配偶者の姓の変更の申出」をすることで、日本人配偶者の戸籍に記載されている配偶者の名前を変更することができます。
また、本名が変わった際には、戸籍の手続きだけでなく、本名を変更したことによってそれに紐づく公的な書類等の苗字変更なども必要です。例えば在留カードやパスポート、運転免許証などの変更を漏れなくすることになります。
通称名を登録する方法
通称名は、住民票のある市区町村役場で手続きをします。「通称記載申出書」という書類を提出すれば登録できます。通称名は住民票に記載されますが、戸籍がつくられたり在留カードに併記されることはありません。
複合姓を名乗る場合
外国人配偶者の苗字と今までの苗字の両方を名乗ることもできます。このような状態の苗字は「複合姓」と言います。
どのような状態か
複合姓では、相手の姓も自分の姓も両方名乗るができます。
しかし、日本人の名前(戸籍に登録できる名前)は「姓」と「名」になり、ミドルネームを入れることはできません。「姓」と「名」のどちらかに両方の苗字を入れることになります。
このため、以下のようなかたちで家庭裁判所で変更の申し立てをすることになります。
(姓)ロッシ田中 (名)良子
(姓)田中ロッシ (名)良子
・氏の変更と名前の変更をする
(姓)ロッシ (名)田中良子
この手続きを行うことで、戸籍に記載される名前が変更になり、戸籍がかわるということは本名が変わるということになります。
どのような手続きが必要か
この手続きは、居住する地域を管轄する家庭裁判所への申し立てをします。苗字や名前の変更は、正当な事由がある場合や、やむを得ない事由がある場合に認められるものになるため、しっかりと理由を準備した上で申し立てをしましょう。申し立ての理由と一緒に根拠として、相手国では複合姓が使用される場合や複合姓を使用している証拠や郵便物などを提示するとよいです。
まとめ
以上、国際結婚した場合の苗字の3つの選択肢について説明いたしました。
何も手続きをしなければ、基本的には夫婦別姓となりますが、日本では結婚したパートナーの苗字を名乗ることを認めています。手続きを行えば戸籍の名前を変えることができます。また、外国人パートナーも日本人の苗字を名乗ることは母国の法律によるところもありますが、通称名を登録することで日本国内では可能となります。また、家庭裁判所での手続きにはなりますが複合姓という選択肢もあります。