【2024年4月施行】国際結婚と再婚禁止期間について

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2024年4月1日に「再婚禁止期間」が廃止されました。国際結婚では、お互いの国の婚姻要件を満たしていることが条件ですので、今まではパートナーのどちらかが日本人の場合には、女性については離婚後すぐの結婚に制限がありました。本編では、今回の廃止が国際結婚にどのような影響があるのか解説します。

再婚禁止期間とは何か

日本の民法では、女性が再婚する際に、離婚から結婚まで一定期間空けなければならない、というルールがありました。これは、妊娠中に離婚・再婚をした場合に、子の父親が誰かを明確にし、子の権利を守ることが目的にありました。しかし、2024年4月1日の改正でこの規定が廃止され、子の父親についてのルールが変わりました。

再婚禁止期間とは

再婚禁止期間については、民法で定められています。改正前の条文を確認してみましょう。

(再婚禁止期間)
第733条 女は、前婚の解消または取消しの日から起算して100日を経過した後でなければ、再婚をすることができない。
2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 女が前婚の解消または取消しの時に懐胎していなかった場合
二 女が前婚の解消または取消しの後に出産した場合

民法 第733条

上記の内容は改正前の内容です。その前は6か月間の再婚禁止期間がありましたが、子の父親を確定する手段としてDNA鑑定などの利用が一般的になったことなど、時代にそぐわないとして再婚禁止期間については改正がされてきました。
そして、2024年4月1日から女性の再婚禁止期間の条文は削除されました。

海外では、そもそも再婚禁止期間がない国(アメリカなど)や2000年代までに廃止された国も多のが現状です。

民法改正後の「子」の「父親」は誰になるのか

女性の再婚禁止期間は、「子の父親を明確にすることで子を守るため」が目的と冒頭で説明しました。これは「生物学的な父親」と「法律上の父親」という2つの考えがあるためこのような規定があるわけですが、今回の改正・廃止によって、「子」の「法律上の父親」父の考えも変わることとなりました。

婚姻中に妊娠した子については夫の子であると推定され、法律上の父親は「夫」となりますが(嫡出推定制度)、2024年4月1日の改正後、婚姻の解消等の日から300日以内に子が生まれた場合であっても、母が前夫以外の男性と再婚した後に生まれた子は、再婚後の夫の子と推定することなりました。
改正前については、「離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子」「再婚して200日が経過した後に生まれた子は再婚後の夫の子」でしたが、これが「離婚後300日以内に生まれた子の父親は再婚後の夫の子」となります。

これらは「法律上の父親」の話ですので、実際(生物学的な父親)が違う場合には、否定をすることができます(嫡出否認権)。

国際結婚と再婚禁止期間

今回の民法改正は国際結婚にどのような影響があるのか確認してみましょう。

国際結婚はお互いの国の婚姻要件を満たしている必要があるもの

それぞれの国には結婚に関しての要件があります。例えば、日本では民法で婚姻について定めていますが、年齢(男女ともに18歳以上)、独身であることなどのルールがあります。このルールは国によって異なりますので、国際結婚するためには両方の国でこの「要件」に当てはまっている必要があります。(実質的成立要件)

例えば、日本では以下のような婚姻の成立要件があります。

・婚姻適齢にあること
・重婚でないこと
・近親婚であること

これらの要件が双方の国で満たしていて、国際結婚を法的に認められたものにするために「手続き」を行うことになります。国によって、法的に効力のある結婚の成立方法は様々です。例えば、日本では役所に婚姻届けでを提出し受理されることで成立します。国によっては、宗教の儀式を経て結婚が成立する場合もあります。国際結婚を法的に認められるためには、「手続き」の面でルールがあります。(形式的要件)

双方の国の婚姻要件を満たし、手続きを経ることで国際結婚が成立・有効な手続きとなります。

民法改正で何が変わる?

今までは再婚禁止期間の婚姻については制限がありました。お互いの国の婚姻要件を満たしていなければ国際結婚は成立しませんので、離婚後すぐの再婚は片方の国ではOKでももう片方の国でNGないし制限があれば、それに従う必要がありました。

外国籍の方が日本に在住するにあたり、「在留資格」が必要です。しかし、人生のターニングポイントで(例えば離婚、失業など)で、「在留資格」にまで影響することがあります。再婚禁止期間の廃止によって、お互いの国で離婚後の再婚に待期期間が無ければ、今までのように待つことなく再婚をすることができるようになりました。

また、「離婚後300日以内に生まれた子の父親は再婚後の夫の子」とされることになったことについては、子の国籍にも影響があるケースもあります。法律上の父親が日本国籍であれば、母親が外国籍であっても日本で出生した場合は日本国籍を取得します。このように「法律上の父親」が誰か、というルールが変わることは子の国籍にも影響する場合があります。

まとめ

以上、再婚禁止期間と国際結婚への影響について説明しました。
国際結婚の場合、双方の国の婚姻成立要件を満たしている必要があるため、片方の国に再婚禁止期間のルールがあれば、それに従うことになります。これは、どちらかの国で何かしらの制限があり結婚が遅れる原因になるということですが、その要因が一つ減ったことになります。
また、今回の再婚禁止期間の廃止に伴い、嫡出推定のルールも変更がありました。子の国籍にも影響がある場合があります。

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