外国人が日本で生活をするためには在留資格(ビザ)が必要です。家族を呼べる在留資格はいくつかありますが、ほとんどが配偶者(妻、夫)や子(実子、養子)に限定されています。例えば、姪や甥といった親戚の子は家族ビザで呼ぶことはできません。
親戚が日本にいることをきっかけに子どもに日本留学やホームステイをさせることを検討することしているならば、「留学」という在留資格ができるかもしれません。本編では、主に小学校・中学校・高校に留学するケースを中心に解説をします。
親戚の子を学校に通わせるなら「留学」ビザ
「在留資格」とは、外国人が合法的に日本に上陸・滞在し、活動することのできる範囲を示したものです。2023年11月現在29種類の在留資格があります。在留資格は「ビザ」という名称で呼ばれることが多いです。
在留資格は、活動内容(留学や仕事等)や身分(配偶者・子など)によって割り当てられています。在留資格の一覧は下記になりますが、言い換えると以下に当てはまるものがない場合は、日本での滞在はできないということになります。
この表を見ると、いわゆる“家族ビザ”は「身分・地位に基づく在留資格」に該当することが多いですが、「該当例」の通り、多くの場合で「配偶者(妻・夫)」「子(実子、養子、連れ子)」しかあてはまりません。例外的に「親」を呼ぶことができる在留資格はありますが、現時点では「姪」や「甥」、「従兄弟」などの少し離れた親戚は“家族ビザ”で呼ぶことはできません。
このため、もし親戚の子どもを日本留学をさせたいのであれば、その子どもは例え10歳未満の小さい子どもであったとしても、検討する在留資格は「留学」になります。
ちなみに、在留資格「留学」の活動内容は以下のように定められています。
本邦の大学、高等専門学校、高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。)もしくは特別支援学校の高等部、中学校(中等教育学校の前期課程を含む)もしくは特別支援学校の中学部、小学校もしくは特別支援学校の小学部、専修学校もしくは各種学校または設備及び編制に関してこれらに準ずる期間において教育を受ける活動
上記の通り、在留資格「留学」には小学校・中学校・高校への進学も含みます。
※ただし、3か月未満の短期間の留学の場合は「短期滞在」を検討してください。
留学先は“公立”でも問題ない
親戚の子を預かって、例えば半年や1年間、もしくは「小学校を卒業するまで」の間、留学をさせる場合、気になることとして「普通の学校でも許可は出るのか」ということがあると思います。私立やインターナショナルスクール、もしくはその子の母国語に精通した先生が在籍して特別な教育課程が準備されているような学校でなければならないのか、ということを疑問に持つのではないでしょうか。
答えとしては、学校は「公立(市立や区立)」の地元の学校でも問題ありません。ただし、留学を希望する学校の教育レベル(小・中・高)に合わせて、学校や下宿先に要件があります。また、保護者としての適任性が求められることになります。
一方で、「家族滞在」の在留資格で例えば小学校や中学校に通う場合には、通う予定の学校に要件は基本的にはありません。この点については学校側は混乱することもあるかもしれませんので、次章のポイントを把握して、場合によってはこのポイントについて学校に説明してください。場合によっては交渉が必要になることもあるかもしれません。
小・中・高に通う場合の在留資格「留学」のポイント
小学校・中学校・高校に留学をさせる場合、子どもの年齢に合わせた環境整備が必要になります。
▶参考:出入国在留管理庁「在留資格「留学」」
小学校の場合
小学校に留学をさせる場合には、以下の要件があります。小学校は公立でも私立でも構いませんが、外国人児童の生活を指導する常勤職員がいることが条件となります。また、低年齢の子どもを預かることになるので、世話をして不自由に生活ができる環境が整っていること、また留学費用が準備されていることが条件となります。
要件 | 確認ポイント |
---|---|
年齢 | 14歳以下 |
日本語能力 | 無し |
生活指導担当者の存在 | 通わせる小学校に、外国人児童の生活を指導を担当する常勤職員がいること |
監護人の存在 | 日本での留学生活を支える監護人(保護者)がいること。 例えば、寄宿舎の寮母、日本に在留している親族や、ホームステイ先の世帯主など |
宿泊施設 | 申請人の身の回りの世話が行われることが確保されている下宿先がある。 ※ホテルや旅館のような一般的な施設は該当しない |
学費・生活費の準備 | 日本での留学生活が送れる経費支弁能力があること |
中学校の場合
中学校に留学をさせる場合には、以下の要件があります。中学校は公立でも私立でも構いませんが、外国人生徒の生活を指導する常勤職員がいることが条件となります。また、中学生の場合にも下宿先はきちんと用意されていて、監護人(保護者)がつく必要があります。また留学費用が準備されていることが条件となります。
要件 | 確認ポイント |
---|---|
年齢 | 17歳以下 |
日本語能力 | 無し |
生活指導担当者の存在 | 通わせる中学校に、外国人生徒の生活を指導を担当する常勤職員がいること |
監護人の存在 | 日本での留学生活を支える監護人(保護者)がいること。 例えば、寄宿舎の寮母、日本に在留している親族や、ホームステイ先の世帯主など |
宿泊施設 | 申請人の身の回りの世話が行われることが確保されている下宿先がある。 ※ホテルや旅館のような一般的な施設は該当しない |
学費・生活費の準備 | 日本での留学生活が送れる経費支弁能力があること |
高校の場合
高校生の場合は、勉強内容のレベルが上がることから一定以上の日本語レベルが必要になります。一方で、小中学校の時にあったような監護人や生活指導者の存在は要件になってきません。
また、「学生交換計画その他これに準ずる国際交流計画」による留学の場合も要件が変わってきます。
要件 | 確認ポイント |
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年齢 | 20歳以下 |
日本語能力 | 教育機関において1年以上の日本語教育または日本語による教育をうけていること ※学生交換計画その他これに準ずる国際交流計画によらない留学の場合 |
学費・生活費の準備 | 日本での留学生活が送れる経費支弁能力があること ※学生交換計画その他これに準ずる国際交流計画によらない留学の場合 |
まとめ
小学生や中学生といった子どもが日本留学をする場合、親と一緒に来日しない場合には、在留資格「留学」で来日することになります。小学生や中学生は世話をする人が必要ですので、学校には「生活指導担当者」がいて外国籍の児童・生徒を面倒見れる環境であること、下宿先にも「監護人」がいて身の回りの世話をする人がいることが前提となります。
留学生だけでなくホームステイ先も充実するような素敵な日本留学にして下さい!