就労ビザの一つである「特定活動(46号・本邦の大学卒業者)」で働く人の扶養を受けて生活する家族は「特定活動47号」という在留資格を申請することで、日本で一緒に生活することができます。この在留資格は「家族滞在」と中身(本質)は同じです。本体者(就労ビザで働く外国人)が「特定活動46号」で日本で働く限り一緒に生活できますし、資格外活動許可を取ればアルバイトも可能です。
本記事では、在留資格「特定活動47号」について解説をします。
【回答】「特定活動46号」の家族は「特定活動47号」で在留できます
在留資格「特定活動(告示46号・本邦の大学卒業者)」の方は、家族(妻・夫・子)を日本に呼ぶことができます。「特定活動46号」の家族は、「特定活動47号」という在留資格で在留することになります。
注意が必要なのは、申請する在留資格は「家族滞在」ではなく「特定活動47号」です。しかし、この2つの在留資格は活動できる範囲や本質的な意味合いは同じです。資格外活動許可をとることで、週28時間までアルバイトをすることもできます。
パターン① 海外にいる家族(妻・夫・子)を呼びたい
家族が海外にいる場合、家族は「特定活動(告示47号・本邦の大学卒業者の配偶者等)」の在留資格を申請します(手続き名は「在留資格認定証明書交付申請」)。もし、就労ビザ(特定活動46号)の方もこれから入国する場合で、その配偶者も一緒に日本で生活したい場合には、家族も同時に「特定活動47号」を申請することができ、この場合は、就労ビザのスポンサーとなる就職先が家族全員の申請をすることができます。
パターン② 国内に在留している人と結婚する
就労ビザ(特定活動46号)で働いている方がご結婚をし、家族は本体者(就労ビザで働く外国人)の扶養に入って生活をする場合には「特定活動47号」に在留資格を変更をします(手続き名は「在留資格変更許可申請」)。繰り返しですが、「特定活動47号」は「家族滞在」のような在留資格になります。基本的には同居をし、一緒に生活を送ることになります。資格外活動許可をとることでアルバイトもできるようになります。
パターン③ 本体者が「特定活動46号」に変更した場合は、家族も「家族滞在」からの変更が必要
本体者(就労ビザで働く外国人)が、他の在留資格から「特定活動活動46号」に変更した場合に、家族はすでに「家族滞在」で在留していた場合は、「家族滞在」から「特定活動47号」に変更しなければなりません(手続き名は「在留資格変更許可申請」)。
具体的には、「技術・人文知識・国際業務」で働いていた方の家族の在留資格は「家族滞在」ですが、本体者(就労ビザで働く外国人)が「特定活動46号」に変更する場合は、家族も同時に「特定活動47号」に変更することになります。
「特定活動47号」と「家族滞在」は在留資格名が異なりますが、活動できる範囲や本質的な意味合いは同じです。しかし、制度的に「特定活動46号」の家族は「家族滞在」は当てはまらないため、「特定活動47号」に変えなければならない、ということになります。
「特定活動47号」を申請するときの3つのポイント
「特定活動47号」の要件について説明します。
ポイント① 婚姻が成立していること(妻・夫の場合)
在留資格の申請の際には、結婚が成立していることが条件となります。内縁関係、婚約状態では認められません。婚姻関係が法律上有効に存続していることが必要です。
結婚の手続きは、有効に成立していれば外国のみでも日本のみでも構いません(それぞれの国の法律によります)。例えば、母国にいる家族を招聘する場合に、わざわざ日本の役所で結婚届を出すことは必要なく、母国で結婚が成立していればそれを以って招へいすることは可能です。
また、逆に日本に在留中に結婚をした場合には、日本の役所に婚姻届けを提出し受理されていれば、母国の行政機関に提出ができていなくても問題ありません。
ポイント② 扶養をする能力があること/扶養を受けること
在留資格「特定活動47号」では、「特定活動46号」で働く方の“扶養”を受けることが要件となります。つまり、「扶養する能力がある」ことと、「扶養を受ける意思がありその状態で在留する」ことが必要です。
まず、「扶養する能力がある」についてですが、呼ぶ側が定職がある(お仕事をしている)必要があります。そもそも、就労ビザで在留している人は、(多くのケースで)フルタイムでお仕事をして、最低でも大人1人分の生活ができる程度のお給料をもらっているかと思います。無職の場合には、そもそも呼ぶ側が「特定活動46号」で在留するための条件が揃っていないので、家族を呼ぶことはできません。
よく、「どのぐらいの給料があれば許可されますか?」とお問合せをいただきますが、明確な基準はありません。それは、家族の人数や資産の状況等によって変わってくるからです。今現在の給料で日本で家族と問題なく生活できるだけの収入があれば問題ありません。
当事務所に聞こえてくる「噂」では、「月給25万円は必要」という話しがありますが、この情報は概ねデマと言えます。家族構成によっては「月給20万円」でも許可される場合もあれば、「月給30万円」でも不許可になる場合もあります。
次に、「扶養を受けること」についてですが、呼ばれる側は「特定活動47号」の許可のほかに「資格外活動許可」というものを取ることで、アルバイトをすることも可能になりますが、あくまで「扶養の範囲」でなければなりません。
家族系の在留資格で在留する人は「資格外活動許可」を得られれば、週28時間までのアルバイトが可能です。このアルバイトの結果、就労ビザで働く扶養者の給料を超えるようなことがあれば「扶養の範囲」を超えてしまっており、「扶養を受けていない」という評価を受けてしまいます。
ポイント③ 同居をすること
特に夫婦の場合には、同居をしていることが原則となります。
日本の入管は「婚姻関係」の判断基準の一つに「同居」に着目をします。同居をしていない場合には、全てのケースで不許可になるわけではありませんが、事情を説明する必要があります。
想定される例としては、子どもを転校させることができないなどの理由で単身赴任をする場合や、大学進学のために子供が一人暮らしを始めることなどが想定されます。特に夫婦間の別居に対してはしっかりとした説明が必要になるため注意が必要です。
まとめ
以上、就労ビザ・特定活動(告示46号・本邦の大学卒業者)の家族(妻・夫・子)の在留資格について説明をしました。「特定活動46号」の家族も日本で一緒に生活できます。
特定活動46号の家族は特定活動47号で在留することになりますが、中身は「家族滞在」によく似ています。資格外活動許可を取ればアルバイトもできます。注意が必要なことは、就労ビザで働く人が「技術・人文知識・国際業務」などの別の就労ビザから変更した場合は、家族も「特定活動47号」に変えなければならないということです