日本の高校を卒業後、就職して「定住者」になるにはどのような条件がある?

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日本の小学校~高校を卒業した外国人の方は、就職をしやすくなる制度があります。一定の条件を満たせば、就職を機に「特定活動」や「定住者」に変更することでフルタイムで働くことができます。小学生の時より日本にいた人は高校を卒業後、就職に合わせて「定住者」に変更できます。中学生から日本に来た人は「特定活動」に変更できますが、「特定活動」で5年経過した場合は「定住者」に変更することができます。また、高校卒業後に大学等に進学したのち、就職した人についても、高校卒業から5年経過していれば「定住者」に変更できる可能性があります。
本編では、日本で教育を受けた外国人が高校卒業後に就職する場合に変更することができる、就労可能な在留資格(ビザ)について解説します。

日本の高校等を卒業した外国人が就職するために変更できる在留資格

就労ビザは、基本的に学歴や職歴によって取得できるものが変わります。大卒以上の学歴がある場合は一般的な就労ビザも選択できますが、日本で教育を受けた方であれば高卒者でも変更できる就労可能な在留資格があります。

高卒者(日本の高校を卒業)が変更できる在留資格(ビザ)について

高校を卒業して就職をする場合には、大卒などの学歴が要件となる在留資格「技術・人文知識・国際業務」などは選択できません。このため、基本的には「定住者」・「特定活動」を検討することになります。
どちらを選ぶかの比較は、入国時点のステータスによります。

在留資格在留資格の特徴・選択基準
定住者小学校卒業までに入国した場合に選択可能。
基本的にはどのような業務内容でも従事可能
特定活動高校入学~高校卒業までに入国した場合に選択可能
基本的にはどのような業務内容でも従事可能
※身分系の在留資格活動制限は無いため、どのような業務内容でも従事可能
就職に伴って、その在留資格から変更する必要は基本的には無い

大卒者(短大・大学・大学院を卒業)が変更できる在留資格(ビザ)について

大学を卒業して就職をする場合には、本制度の「定住者」・「特定活動」に加えて、在留資格「技術・人文知識・国際業務」や「特定活動(46号・本邦の大学卒業者)」や「高度専門職1号」も選択の余地が出てきます。それぞれにメリット・デメリットがあるため選択の際には比較をしながら選んでください。

在留資格在留資格の特徴・選択基準
技術・人文知識・国際業務会社等において学校等で学んだこと/実務経験を活かした知識や国際的な背景(言語や外国の感性等)を要する(「単純作業」、「訓練で習得する業務」、「マニュアルがあれば遂行可能務」等を除く)仕事をすることを目的とした在留資格
高度専門職1号「技術・人文知識・国際業務」などの要件(学歴や業務内容等)を満たした状態で、かつポイント制で70点以上の場合に取得が可能。
日本の大学を卒業し、N1を持っている場合は加点が大きいため、検討が可能な場合がある。
特定活動(46号・本邦の大学卒業者)日本の大学を卒業し(短大、大学、大学院)、日本語能力検定N1レベルである場合に、「技術・人文知識・国際業務」と比較して従事可能な業務の幅が広く、比較的自由に職業を選択することができる。
定住者小学校卒業までに入国した場合に選択可能。
基本的にはどのような業務内容でも従事可能
特定活動高校入学~高校卒業までに入国した場合に選択可能
基本的にはどのような業務内容でも従事可能
※身分系の在留資格活動制限は無いため、どのような業務内容でも従事可能
就職に伴って、その在留資格から変更する必要は基本的には無い

日本育ちの外国人が選択可能な在留資格「特定活動」「定住者」

日本で教育を受けた外国人の場合、日本人学生と同じように自由に就職活動ができるように配慮がされています。高卒者の場合でも、就職を機に就労可能な「特定活動」や「定住者」に変更することで、日本で就職することができます。

日本育ちの外国人の方は就職しやすいように配慮がされています

就労目的で在留する外国籍の方が増えたことを背景に、日本生まれ、日本育ちの外国籍の子どもが増えてきました。在留資格「家族滞在」や「留学」で滞在する日本育ちの子どもが同級生の日本人と同じように就職活動及び就職をしても問題ないように、就労可能な在留資格が選べる制度があります。

出入国在留管理庁は、日本育ち(17歳までの入国・高校を卒業した)の外国籍の方の就労可能な在留資格について、「「家族滞在」の在留資格をもって在留し、本邦で高等学校卒業後に本邦での就労を希望する方へ」にて「定住者」又は「特定活動」への在留資格の変更を認めています。

この「定住者」・「特定活動」を選択することで、その他の就労可能な在留資格と大きく異なる点は以下の通りです。

・業務内容の制限を気にすることなく就職をすることができる
・(高卒であれば)学歴や職歴がなくても就労可能な在留資格を取得できる

つまり、他の就労可能な在留資格では必ずある「業務内容の制限」や「学歴・職歴要件」が無くても、「定住者・特定活動」を選ぶことによって、日本人の高卒者と同じように就職活動をし、どのような職業にも就くことができます。他の就労ビザでは一定の制限があったり、そもそも当てはまる在留資格がないことがなく就職を断念しなければならないこともありますが、この「定住者・特定活動」の在留資格であれば比較的自由に就職ができます。

▶参考:出入国在留管理庁『「家族滞在」の在留資格をもって在留し、本邦で高等学校卒業後に本邦での就労を希望する方へ

就職に際して「定住者」・「特定活動」を検討できる場合

本制度は、主に高卒の方でもフルタイムに就職することができるようにしたことが想定されています。ただし、無条件に子どものころから日本にいる外国人全員が、この在留資格の選択ができるという訳ではありません。来日時のステータスや就職時点の家族の在留状況によって、要件や選択可能な在留資格(ビザ)は異なってきます。

日本生まれ・小学生までに来日した場合

現在、「家族滞在」で在留する人で、17歳まで(18歳未満)に入国し、日本で小学校・中学校・高校を卒業し、週28時間以上の労働条件での就職が決まっている場合には「定住者」を取得することができます。
小学校・中学校を卒業しているということは、日本の義務教育を修了しているという意味になります。小学校・中学校には特別支援級や夜間中学も含みます。また、高等学校には、定時制や通信制も含みます。

また、「家族滞在」で在留している人以外でも、両親の扶養を受けながら一緒に日本で生活をしている「留学生」などの場合でもこの制度は利用可能です。考え方は「家族滞在」の在留資格の要件を満たしている人であれば、その他の在留資格でも検討の余地があるという見方になります。

もし1週のうち28時間以内でしか働かない場合には、「資格外活動許可(包括許可)」があれば足りるため、「定住者」への在留資格の変更はできません。

中学生から・高校入学時から来日した場合

高校の入学時(中学生の途中)から日本に来た場合には、17歳まで(18歳未満)に入国し、高校を卒業し、週28時間以上の労働条件での就職が決まっている場合で、かつ、引き続き親も日本に在留する場合には「特定活動」を取得することができます。
この場合、親は子どもの身元の保証をすることが条件になります。

高校生の時に来日(高校に編入)した場合

高校生の時(高校に編入)から日本に来た場合には、高校卒業に加えて日本語能力検定N2レベル以上であることが必要です。つまり、17歳まで(18歳未満)に入国、高校を卒業、日本語能力検定N2レベル以上、週28時間以上の労働条件での就職が決まっている場合で、かつ、引き続き親も日本に在留する場合には「特定活動」を取得することができます。
この場合も、親が子どもの身元の保証をすることが条件になります。

※本制度の学校は学校教育法第一条に規定する学校を指します。このため、インターナショナルスクールに通っている場合は対象外になるのでご注意ください。

中学生から日本に来た人が「定住者」になるためには

中学生から来日した場合で高卒で就職した場合は、「特定活動」の在留資格に変更して働くことになりますが、2024年7月に「特定活動」から「定住者」に変更できることが明確になりました。
就労を目的とする「特定活動」で5年在留した場合は、「定住者」に変更することできます。また、大学等に進学した場合はその期間と、他の就労ビザ(例えば「技術・人文知識・国際業務」等。「技能実習」は除く)で在留した期間の合計が5年以上ある場合も同様に「定住者」への変更ができます。
変更するための条件として経済的に独立している(1人で生活できるだけの収入がある)必要はありますが、「特定活動」やそのほかの就労ビザと比較してより自由な生活が可能になるかと思います。

「特定活動」から「定住者」に変更するための条件は以下の通りです。

「特定活動」から「定住者」に変更するための条件
① 本邦の高等学校卒業以上の学歴を有すること
② 就労を目的とする「特定活動」又は就労資格(「技能実習」を除く。)により5年以上在留していること
※ 本邦の大学又は専門学校で教育を受けた期間(専ら日本語教育を受ける場合を除く。)の算入も認める。
③ 申請人自身に独立生計維持能力が認められること
④ 申請人が入管法上の届出義務、公的義務を履行していること

まとめ

以上、日本で教育を受けた外国人が就職する場合の在留資格について解説しました。
日本で教育を受けて日本の高校を卒業した場合は、比較的自由に就職活動をし、自由に職業を選ぶことができます。
また、日本の高校を卒業して就職をした場合、一定の条件をクリアをすると身分系の在留資格である「定住者」に変えることができます。「定住者」に変更できれば、自分自身で生計を維持することできるという条件はありますが、就労ビザで在留する以上に活動が自由になります。
日本の高校を卒業した方は、是非本制度を活用してみてください。

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