元日本人の外国籍になった後に生まれた子(日本国籍離脱後の子)は、「定住者」の在留資格で日本に在留することができます。日本人の子孫である日系2世・3世の方が当てはまることが多いです。「定住者」という在留資格では、日本で安定した生活ができればどのような活動をしてもよい身分系の在留資格です。就労制限はなく、会社経営をすることもできる在留資格です。また、日系2世・3世の方の配偶者(妻・夫)についても「定住者」を取れる可能性がありますので、家族での移住も検討できます。本編では、元日本人の子の在留資格について解説します。
元日本人の子が取れる在留資格(ビザ)について
元日本人の方が外国籍になった後に生まれた子やさらにその子は「定住者」の在留資格(ビザ)が当てはまります。また、日系2世、3世の「定住者」の配偶者(妻・夫)の方の場合も「定住者」を申請できますので、元日本人の子が家族で移住することができます。
どのような人が当てはまる在留資格(ビザ)か
元日本人の子についてですが、正しく・詳しく解説すると以下の人が該当します。
・親が外国籍になった後に生まれた実子
典型的な例としては、日本人として生まれ、海外に移住をして外国籍を取得し(外国籍の取得と同時に日本国籍は自動で喪失します)、外国籍になった後に子が生まれた場合が挙げられます。
除外される例としては、外国籍の方が日本に移住し、帰化後に再び外国籍に戻った場合などはここで言う「元日本人」には当てはまりません。それ以外に、日本人として生まれ、子の出生後に、親・子とともに外国籍になった場合(日本国籍を喪失した場合)は、申請する在留資格は「定住者」ではなく「日本人の配偶者等」になります。
また、「元日本人の実子」であることだけでなく、日本で安定した生活を送れる人でなければ許可されません。ご自身か家族が日本で就職をし安定的に収入があるかどうか(見込みがあるかどうか)、他に日本での生活に係る費用を負担してくれる方(経費支弁者)がいることが必要です。
▶参考:出入国在留管理庁「在留資格「定住者」(外国人(申請人)の方が日系2世の配偶者(夫又は妻)の場合)」
元日本人の家族で移住することはできるか
元日本人の子のさらに子(日本人の孫・日系3世)についても「定住者」を申請できます。また、元日本人の子の配偶者(妻・夫)についても「定住者」を申請することができます。
配偶者(妻・夫)については、現在も婚姻関係が継続していることが条件になります(離婚した人は対象外)。また、審査においては、他の配偶者ビザと同様に質問書を提出しますが、出会いから現在までの経緯をしっかりと説明しなければならず、偽装結婚ではないかしっかり審査されることになります。
▶参考:出入国在留管理庁「在留資格「定住者」(外国人(申請人)の方が日系2世の配偶者(夫又は妻)の場合)」
在留資格(ビザ)の手続きについて
ここでは、元日本人の外国籍になった後に生まれた子の「定住者(告示3号)」の在留資格の手続きについて解説します。この在留資格は、元日本人の日本国籍離脱後に生まれた実子が該当します。また、告示3号では、元日本人の子の他、日本人の孫、元日本人の日本国籍離脱後の実子の実子(孫)も該当します。
海外から家族を呼ぶ手続き ~在留資格認定証明書交付申請~
海外から日本に移住するような場合に行う手続きを「在留資格認定証明書交付申請」と言います。この手続きを行う場合は、日本に親族がいることが条件となり、招へい人(日本にいる親族)が代理人となって手続きを行います。もし、日本で生活する親族がいない場合は、認定証明書交付申請ではなく、直接、在外の日本大使館に申請をすることになります。
他の在留資格から「定住者」へ変更する手続き ~在留資格変更許可申請~
既に日本で生活している場合で、在留資格を「定住者」に変更する場合には、「在留資格変更許可申請」を行います。この手続きは、本人が住んでいる地域を管轄する「出入国在留管理局」で手続きを行います。
必要書類について
定住者(告示3号)の場合 |
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・在留資格認定証明書交付申請書/在留資格変更許可申請書 ・証明写真 ・両親(日本人)の戸籍謄本または除籍謄本 ・両親の婚姻届け受理証明書 ・申請人の出席届受理証明書または認知届受理証明書 ・死亡届受理証明書(両親が死亡している場合) 【日本での滞在費用を証明するもの】 ー申請人の経済力で生活する場合 ・申請人の貯金通帳の写し ・雇用予定証明書又は採用内定通知書(日本の会社発行のもの) -申請人に代わって滞在費用支弁者が日本にいる場合 ・滞在費用支弁者の方の直近1年分の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの) ・身元保証書 |
※上記のほかに、生活について補足で説明する書類や過去の在留状況を示す書類を出す場合もあります。上記の内容は最低限の書類になります。
出入国在留管理局へ申請をする
基本的に申請は申請人の居所を管轄する入管、もしくは申請代理人(申請をする日本にいる親族)の居住地を管轄する入管で行います。
申請先については下記の通り決まりがあります。
居住予定地もしくは申請代理人(申請をする日本にいる親族)の居住地を管轄する地方出入国在留管理官署(入管)
【在留資格変更許可申請 or 在留期間更新許可申請】
住居地を管轄する地方出入国在留管理官署(入管)
地方出入国在留管理官署 | 管轄する区域 |
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札幌出入国在留管理局 | 北海道 |
仙台出入国在留管理局 | 宮城県、福島県、山形県、岩手県、秋田県、青森県 |
東京出入国在留管理局 | 東京都、神奈川県(横浜支局が管轄)、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、 群馬県、山梨県、長野県、新潟県 |
名古屋出入国在留管理局 | 愛知県、三重県、静岡県、岐阜県、福井県、富山県、石川県 |
大阪出入国在留管理局 | 大阪府、京都府、兵庫県(神戸支局が管轄)、奈良県、滋賀県、和歌山県 |
広島出入国在留管理局 | 広島県、山口県、岡山県、鳥取県、島根県 |
福岡出入国在留管理局 | 福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県、鹿児島県、宮崎県、 沖縄県(那覇支局が管轄) |
分局が近くにない場合には、最寄りの支局や出張所での申請も可能です。ただし、支局や出張所次第では在留資格の申請を受け付けていない場合もあるため確認が必要です。
▶出入国在留管理庁:管轄について
誰が申請をするのか
海外から呼び寄せる場合には、基本的には申請人(外国人)を招へいする日本にいる親族を申請代理人として申請を行います。もし、家族で移住する場合でも、日系2世・3世の方の親族が呼びたい家族全員の代理人になることができます。申請人の居住予定地か親族などの申請代理人の住居地を管轄する入管に申請に行きます。申請人が16歳未満の子どもの場合は、法定代理人(父母等)が代理人として申請することができます。
一方、届け出を行っている「取次者」であれば、申請を代わって行うことができます。「取次者」の例として、行政書士、弁護士が該当します。行政書士や弁護士に依頼する場合でも、日本に日系2世・3世の方の親族がいることが申請の取次の条件になります。
まとめ
以上、元日本人の外国籍の子が申請できる在留資格「定住者」について説明しました。
元日本人の親が海外に移住後に外国籍になった後に生まれた実子は、日本で安定した生活を送ることが見込まれる場合には「定住者」を申請することができます。また、もし家族で移住を検討する場合にも、元日本人の子の家族(妻・夫・子)であれば同じく「定住者」を申請できる可能性があります。「定住者」という在留資格は、活動内容が制限されない比較的自由度の高い在留資格です。日本へ移住を検討される際には参考にしてみてください。