【ケース別解説】家族ビザで仕事はできますか?

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「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」「家族滞在」などの在留資格(ビザ)で家族と一緒に日本で滞在している人は、手続きをしなくても仕事(収入を得るための活動)ができる人と、手続きをしなければ仕事をしてはいけない人がいます。
本編では、お持ちの在留資格(ビザ)でお仕事ができるのか、またその条件について解説をします。

家族ビザと仕事をすることについて

「在留資格」とは、外国人が合法的に日本に上陸・滞在し、活動することのできる範囲を示したものです。2023年10月現在29種類の在留資格があります。在留資格は「ビザ」という名称で呼ばれることが多いです。
在留資格は、活動内容や身分(配偶者・子など)によって割り当てられています。日本に滞在するすべての外国人が、何かしらの在留資格を持っているということになります。

日本の在留資格は、「就労が認められる在留資格」(いわゆる“就労ビザ”)、「就労が認められない在留資格」、「身分・地位に基づく在留資格(活動制限なし)」と分けられます。
家族ビザでいうと、「身分・地位に基づく在留資格(活動制限なし)」には「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」「永住者」が該当し、「就労が認められない在留資格」では「家族滞在」や一部の就労ビザで働く家族と一緒に生活している「特定活動」の人が当てはまります。

就労ができるかどうかは、在留資格カードを見れば判別ができます。

【就労制限がない在留カード】

就労制限の有無の欄に「就労制限なし」と書かれている。この場合は、仕事は自由にできます。

【就労制限がある在留カード】

就労制限の有無の欄に「就労不可」と書かれている。この場合は、仕事はできない。
※後で説明する「資格外活動許可」を取れば仕事はできるようになる。

身分系の在留資格(ビザ)の場合

「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」「永住者」は、ご自身のステータス(例えば日本人と結婚している)から与えられる在留資格になり、「身分系の在留資格」と呼ばれています。

日本人の配偶者等の場合

「日本人の配偶者等」のような在留資格は「身分・地位に基づく在留資格」となり、活動制限がありません。在留するために必要な要件は、日本人パートナーと結婚生活を送っているというステータスになりますので、企業にフルタイムで勤めても、会社を経営しても、フリーランスになっても問題がありません。また、無職でも問題ありません。こういう状態を「活動制限がない」といいます。

身分系の方に関しては、在留資格が維持できる限り日本人と同様に制約なく働くことができます。

永住者の配偶者等の場合

永住者の配偶者等の場合も、日本人の配偶者等と同じで、「身分・地位に基づく在留資格」とであり、活動制限はありません。説明は、日本人の配偶者等と同じになります。

定住者の場合

定住者の場合も、日本人の配偶者等と同じで、「身分・地位に基づく在留資格」とであり、活動制限はありません。説明は、日本人の配偶者等と同じになります。

家族滞在の場合

在留資格「家族滞在」では、在留カードの表面を見たらわかる通り「就労不可」となっております。資格外活動許可というものを取ることで、一定の制限がありますが仕事をすることはできます。

家族滞在は扶養されることが前提

在留資格「家族滞在」では、ざっくりと説明すると下記の条件を満たしているときに許可がされる在留資格(ビザ)です。

・婚姻が成立しともに生活を送っていること(妻・夫の場合)
・就労ビザで働くパートナー(配偶者)の扶養を受けること
・就労ビザで働くパートナー(配偶者)に扶養する能力があること

上記からわかるように、あくまで就労ビザで働くパートナーが一家の生活を支える人になり、家族滞在で在留する人は扶養される立場にあります。これが大前提ですので、次に説明をする「資格外活動許可」を取ることで仕事をすることはできますが、たくさんはできないものになります。

「資格外活動許可」を取ることで仕事ができる

「資格外活動許可」といっても、「個別許可」と「包括許可」に分けられます。よく「家族滞在」や「留学生」がアルバイト・パートをする際には、「包括許可」を取っていることが多く、こちらの方がなじみがある許可かと思います。また、「個別許可」は難しい話になってしまいますので、本編では「包括許可」のみについて解説します。

この「包括許可」では、1週間に28時間以内の収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動について認められています。「包括許可」では、「週28時間」というルールがある限り、タイムカード等で管理できる仕事に限られます。
この「包括許可」では、風営法で規制されている業種を除き、コンビニやレストランでの接客や、倉庫などでの仕分け作業などの、いわゆるブルーワーカー的な仕事をすることが可能です。つまり、比較的自由にパート・アルバイトをすることができます。

ちなみに、「資格外活動許可」は入管で申請をする手続きになりますが、許可がもらえると在留カードの裏面にスタンプがもらえます。

【資格外活動許可欄】
包括許可を取ると、在留カードの裏面の下部に下記のように書かれます。

「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く。)」

▶参考:出入国在留管理庁「資格外活動許可について

「資格外活動許可」で働くときの注意点

資格外活動許可で働く場合、「働く時間」と「稼ぎすぎ」には気を付けなければなりません。
資格外活動許可の包括許可では週28時間まで働くことができますが、「週28時間」については、どのよう日から1週間を起算した場合でも常に1週間について28時間以内でなければなりません。これは、月間を通しての平均でもなく、「年収÷時給÷12(か月)÷4.3(週)」で算出した結果でもありません。「どこの連続する7日間を切り取っても週28時間」である必要があります。

また、現在持っている在留資格で認められた活動をしっかりと行えていない場合は、週28時間以内であっても、「働きすぎ」と判断されて在留に影響が出る場合があります。家族滞在の方で注意をしなければならないのは、「家族滞在」で在留する人が扶養の範囲を超えて働く場合です。就労ビザで働くパートナーより収入が多くなることは「扶養を受けている」という評価はされませんし、入管によっては年収130万円を超えると扶養の範囲を超えているとして不許可となるケースもあります。

特定活動の場合

就労ビザで働くパートナーの家族として在留する「特定活動」は、フルタイムでの就労が可能な「特定活動(33号・高度専門職外国人)」と「家族滞在」と同様の内容の「特定活動」の方の場合があります。

特定活動(33号・高度専門職外国人の就労する配偶者)の場合

「高度専門職」の配偶者の場合、就労制限のある「家族滞在」の他に、申請時に就労先が決まっていてその業務内容が在留資格『研究』、『教育』、『技術・人文知識・国際業務』、『興行』に該当する場合には、フルタイムで働くことができる「特定活動(33号・高度専門職外国人の就労する配偶者)」で在留することもできます。この在留資格では、無制限に職種を選べるわけではありませんが、1週間の週28時間の資格外活動許可の制限無くフルタイムで就労することが可能です。在留資格『家族滞在』のように、扶養の範囲内であることも求められません。
在留資格『研究』、『教育』、『技術・人文知識・国際業務』、『興行』の在留資格を取るためには、それぞれ学歴・職歴の要件などがありますが、「特定活動(33号・高度専門職外国人の就労する配偶者)」を申請する際には、学歴・職歴の要件はありません。日本人と同等以上の報酬を得ることと配偶者(高度専門職の方)との同居が条件となります。

就労ができる業務について
(1) 研究を行う業務に従事する活動
(2) 本邦の小学校(義務教育学校の前期課程を含む。)、中学校(義務教育学校の後期課程を含む。)、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、専修学校又は各種学校若しくは設備及び編成に関してこれに準ずる教育機関において語学教育その他の教育をする活動
(3) 自然科学若しくは人文科学の分野に属する技術若しくは知識を必要とする業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(入管法別表第1の2の表の研究の項、教育の項及び興行の項の下欄に掲げる活動を除く。)
(4) 興行に係る活動以外の芸能活動で次に掲げるもののいずれかに該当するもの
ア 商品又は事業の宣伝に係る活動
イ 放送番組(有線放送番組を含む。)又は映画の製作に係る活動
ウ 商業用写真の撮影に係る活動
エ 商業用のレコード、ビデオテープその他の記録媒体に録音又は録画を行う活動

この在留資格で就労する場合、あらかじめ就労先が決まっている必要があります。

フルタイムで働く場合、学歴・職歴を満たしている場合は、通常の就労ビザを取得されたほうがよいです。詳しくは当事務所にお問合せ下さい。

特定活動(33号以外)の場合

就労ビザで働くパートナーの在留資格が「特定活動」の場合、家族の帯同が認められる場合には、同じく「特定活動」になります。
具体的には、「特定活動(6号・アマチュアスポーツ選手)」、「特定活動(36号・特定研究等活動)」
「特定活動(37号・特定情報処理活動)」、「特定活動(16号、17号、19号、20号、21号、22号、27号、28号、29号)」「特定活動(44号・外国人起業家)」「特定活動(46号・本邦の大学卒業者)」、「特定技能1号(※条件あり)」の配偶者が当てはまります。

これらの在留資格の場合には、「家族滞在」と同じように資格外活動許可(包括許可)を取ることで、扶養の範囲内で週28時間まで就労することができます。

まとめ

以上、「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」「家族滞在」などの在留資格(ビザ)で生活する方が仕事ができるかどうかについて解説しました。
「日本人の配偶者等」などの身分系の在留資格の方は活動制限がありませんので、日本人と同じように自由に仕事を選び働くことができます。「家族滞在」については、本来は就労はできず、資格外活動許可を取ることで扶養の範囲内かつ認められている範囲内で働くことができます。

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