「1年」のビザが続きます。どうしたら「3年」「5年」の在留期間がもらえますか?

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入国して間もない場合や、今の在留資格になったばかりの頃は「1年」の在留期間になることも多いですが、何年在留を行っても、また何回更新を行っても、「1年」が続く場合があります。「1年」の在留期間が何度も続く場合にはおそらく何かしらの理由があるはずです。本編では、そもそも在留期間更新や在留資格の変更申請の際に審査されるポイントについて解説をします。

在留資格の変更や期間の更新時に審査される内容について

在留資格の変更(在留資格変更許可申請)や期間の更新(在留期間更新許可申請)の際には、入管で審査が行われますが、この審査は「専ら法務大臣の自由な裁量に委ねられ、申請者の行おうとする活動、在留の状況、在留の必要性等を総合的に勘案」して行われます。具体的には、 出入国在留管理庁が発表している『在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン』内で、審査において下記のポイントを総合的に勘案して行うこととされています。

1 行おうとする活動が申請に係る入管法別表に掲げる在留資格に該当すること
2 法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること
3 現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと
4 素行が不良でないこと
5 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
6 雇用・労働条件が適正であること
7 納税義務を履行していること
8 入管法に定める届出等の義務を履行していること

在留資格の変更,在留期間の更新許可のガイドライン

在留資格変更許可申請を行う場合(別の在留資格から変更をする場合)は、今までの在留状況とこれからの活動内容を審査されることになります。在留期間更新許可申請(前回の申請から活動内容が変わらず、期間を更新する場合など)でも、今までの在留状況と、これからの活動内容を同じく審査されることになります。

在留資格の変更も期間の更新も共通して言えることとして、「過去」「現在」「未来」が審査の対象となることです。「未来(予定している活動内容)」が問題なければ許可はもらえると考えがちですが、今までの在留状況がよくなければ、「不許可」や「希望を出した在留期間よりも短い在留期間になる」ということにつながります。

▶出入国在留管理庁『在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン

在留期間はどのように決まるのか

在留資格の申請書には「希望する在留期間」を記載する部分がありますが、そこに希望の年数を記載してもそれよりも短くなることは少なくありません。これは一定のルールによる場合と審査の結果による場合があります。

そもそも付与される在留期間は決まっている

そもそもですが、付与できる在留期間は法律で決まっています。
例えば、「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」は「5年」「3年」「1年」「6か月」のどれかになります。つまり、そもそも「10年」を希望しても最長で「5年」までしかもらえないということになります。
一方で、「家族滞在」は扶養者(就労ビザで在留する家族)と在留期間を合わせる方針になりますので、扶養者と在留期限満了日が同じになるように付与されます。

就労ビザの場合、例えば「技術・人文知識・国際業務」や「経営管理」も「5年」「3年」「1年」「4か月(経営・管理のみ)」「3か月」のどれかになります。しかし、「特定技能1号」では最長が「1年」ともともと決められているものもあります。また「興行」についても最長は「3年」と決められているため、在留状況がどんなに良くても「5年」はもらえないということになります。

このように、まずはそもそもすべての在留資格で「3年」「5年」の期間が用意されているかどうかにもよります。

どうして「1年」の在留期間になってしまうのか

簡単に言うと、入管が1年後にまた様子を確認したいと思われた場合は「1年」になります。
「1年後」に様子を見る必要は無いと思われれば、「3年」「5年」になるわけです。

そして、その「様子を確認したい内容」というのは、8つの審査ポイントの中で不安な点があった場合にその項目についてになります。初めに申し上げた通り、審査は「法務大臣の自由な裁量により総合的に勘案される」ことになり、つまり申請内容の全体を審査をされることになります。ご自身が全部きっちり満たしていると思われても、そのように判断されない場合もあれば、不安な点がいくつかあった場合でも全体を審査した結果、在留の継続を認めてもらえる場合もあります。

ここで強調したいこととしては、「3年」「5年」の在留期間をもらうために、小手先に申請書の内容を工夫すればどうにかなるという問題ではありません。このガイドラインに沿った在留を重ね、ご自身の「過去」「現在」「未来」の在留が問題ないものであることが伝われば、結果的に「3年」「5年」がもらえるようになる、ということです。

よくある希望よりも在留期間が短くなる要因

よくある在留期間が短くなる要因として、「そもそも在留歴が浅い」といった改善のしようもない理由もあります。よくあるケースとして「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」、「経営・管理」の方は、初めてその在留資格になった場合は「1年」が多くの場合で出ています。また、このような場合によくある流れとして「1年」の在留期間が2回出て、次の審査も問題なければ「3年」が出るケースもよくみられます。入国歴が浅い方ではなく、何回更新を行っても「1年」が続く場合に、よくみられる要因を挙げていきます。

以下のケースはそもそもすべてではありえませんし、状況次第では以下に当てはまる場合でも「3年」「5年」がもらえる場合もあります。当事務所の一意見としてお読みいただければと思います。

1,「未来」の活動内容が不安定

これは、審査ポイントの1番目に関する内容です。

行おうとする活動が申請に係る入管法別表に掲げる在留資格に該当すること

例えば、「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」の場合、同じ人との婚姻関係が続いている場合でも別居をしている場合などの特殊な事情がある場合には、短い在留期間になる場合があります。
また、就労ビザで転職した方の場合も転職先の業務内容次第では「1年」になる要因になる場合があります。

2,「過去」の活動内容が問題ないものだった

これは、審査ポイントの3番目や4番目に関する内容です。

現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと
素行が不良でないこと

前回の変更や更新が許可されてから現在までの「過去」が問題のある在留だった場合は、「短くなる要因」になります。前回の申請書に書いたとおりの在留を行い、また犯罪などを犯していなければ基本的には問題ないかと思います。

3,「現在」の生活が安定しているか

これは、審査ポイントの5番目や6番目に関する内容です。

独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
雇用・労働条件が適正であること

これは、安定した生活を送ることができるだけの収入や財産があるかどうか、という意味になります。
世帯年収がいくらあれば「3年」「5年」の在留期間がもらえるという回答はできませんが、安定した企業に就職し、世帯規模に見合った年収があるほうが、少ないケースと比較して長い在留期間はもらいやすいと言えます。

また、よく大きな企業(上場企業・カテゴリー1やカテゴリー2に該当する企業)の場合は、新卒1年目でも「3年」「5年」が出やすいという話がありますが、この項目に直接影響しているかは置いておいて、就職先の規模に影響される部分はあります。
他にも、雇用内容や労働条件が適正であっても短い契約期間の雇用契約の場合は、「1年」になる要因になります。例えば「6ヶ月」の雇用契約期間の場合には、無期雇用の場合と比較してどうしても「1年」が出やすくなると言えます。(契約期間が「6ヶ月」でも在留期間が「3年」「5年」は出るケースはあります)

4,納税義務を履行していること

これは、審査ポイントの7番目に関する内容です。

納税義務を履行していること

納税は義務(しなければならないもの)ですので、しなければ印象が悪いですし、悪質な場合「不許可」になってしまう可能性もあります。

もし未納があって、納税ができない特別な事情があったとしても、それは多くのケースで「生活が安定しているか」にもかかわってくる内容であることが想像できます。そうなるとやはり、税金の未納は短くなる要因にはなってきます。過去に、就労ビザの方で未納がたくさんあった方の場合に、支払い計画書を添付して申請をしたところ何とか許可はもらえましたが、「〇か月(1年未満)」の在留期間になったこともありました。

5,入管法に定める届出等の義務を履行していること

これは、8番目に関係する内容です。

入管法に定める届出等の義務を履行していること

よくあるケースとして、引っ越しした場合は、転出届や転入届を市区町村役場で行いますが、この届出を忘れていませんか?また、就労ビザで在留している人は、転職時には「所属機関等に関する届出」が必要ですが、これは提出し忘れが多くなっています。家族ビザで在留している人も、状況が変われば入管への届け出が必要な場合もあります。

どちらの届け出も「14日以内」といったように期限があり、気が付いたら超過をしているということも珍しくありません。これは今までの経験ですが、提出がおそくなってしまっても「提出しないより、したほうがよい」ことには違いありません。遅れて出した方でも「3年」「5年」の在留期間はもらっています。

▶出入国在留管理庁:「所属機関等に関する届出手続

まとめ

以上、在留期間について解説しました。
この在留期間は色々な要因が絡み合って、「1年」になったり「3年」「5年」になることが多いです。入国したばかり、結婚したばかり、起業したばかり、就職したばかりという、今の在留資格になって時間が短い人は「1年」になることは珍しくなく、心配する必要はありません。適切な在留を重ねていれば、次かその次の更新でより長い在留期間がもらえる可能性が高くなります。

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