当事務所によくいただくご質問に「在留資格の申請は何度でもできますか?1度不許可になったら、再度のチャレンジはできないものですか?」というものがあります。在留資格の申請は基本的には何度でもできますが、許可をもらうためには不許可の理由が払しょくされていることが条件になります。不許可になった場合、入管でその理由を聞くことができるので、再申請を検討するにあたって、この不許可の理由を知ることはとても重要になります。
本編では、不許可いなった場合の流れについて解説をします。
再申請をして許可が出ることはあるのか
回答:入管から指摘された不許可の原因が払しょくされていれば許可が出ます。
審査する側は一度不許可の記録が付いた申請は、そのポイントを重点的に確認されることになります。そのため、不許可の原因が払しょくされたことを丁寧に説明することが大事です。
許可をもらうために最も大事なこと ~不許可理由の確認について~
「不許可の原因が払しょくされたことを丁寧に説明する」ためには、不許可の理由を知ることが最重要ポイントになります。
不許可になる場合、入管から「お知らせ」が届きます。行政書士などの代理受取が不可で、本人が来るように書かれている「お知らせ」は不許可の可能性が高いです。
よく言われていることとして、絶対ではありませんが「はがき」で来るお知らせは「許可」の可能性が高く、「封筒」で来るお知らせや入管への出頭日時が指定されている場合は「不許可」の可能性が高いものになります。
以下のようなお知らせが来たときは、入管で不許可の理由を聞くことになります。
入管に呼び出されたときには、「不許可を言い渡される場」が設けられます。そしてここでは、不許可の理由を聞くことができ、また質問をすることができます。
不許可の聴き取りで必ず聞くべき点は以下の3点です。
- 再申請をすることが可能かを聞く (←この部分が最も大事です)
- よくなかった部分や説明が足りなかった部分を聞く
- 具体的にどの部分を改善すれば再申請が可能かを聞く
特に、「再申請をすることが可能かどうか」を尋ねると、審査官は「一度帰国し、その後申請をしたほうがよいのか」、「在留期限内に再申請をして許可の可能性があるのか」を教えてもらえます。不許可の理由次第では、一度帰国したほうがよいこともあります。
不許可となってしまった場合、よくなかった部分や説明が足りなかった部分を確認し、その部分を改善しそれについて証明・説明することができれば許可を得ることができます。そのため、不許可の理由の聞き取りでは「よくない部分・説明不足の部分」を聞き、「どうすればよいのか」をしっかり聞きましょう。
再申請が可能な場合とは
一度不許可になって、再申請をする場合には許可を得るためには「不許可となった理由」を取り除かなければ許可はもらえません。このため、不許可の理由を聞いて「不許可になった理由」が取り除けるものなのか、改善できるものなのかを知る必要があります。
例えば、「日本人の配偶者等」では夫婦の同居が前提になりますが、理由があって同居ができていない状態で申請をし、その状態そのものや説明不足が理由で不許可になった場合には、同居を始めることで不許可の原因が払しょくされることになります。これは払しょく可能な不許可理由の一つです。
一方で、払しょくできない問題の典型例として、不許可の理由が「過去の在留状況」にある場合です。例えば、留学生でオーバーワークをした場合など、真面目に日本で生活をしていないと思われたときなど、過去は変えられないのも事実です。こういった場合には、一度出国をするしか解決しない場合もあります。
在留中に帰国することなく再申請をすることは可能か
次によくある質問として、日本にいたまま再申請ができるかどうかの質問です。これについてはケースバイケースとなります。
不許可になった時に在留期限が残っている場合
在留期限内であれば在留は可能であり、再申請をすることも基本的には可能です。
在留期限内に申請し、その後在留期限が到来した場合は自動的に2か月間の特例期間に入ります。この特例期間内に必ず申請の結果は出ます。
不許可になった時に在留期限が残っていない場合
特例期間中に不許可になってしまった場合、不許可の理由を聞いたその場で「特定活動(出国準備)」に変更をすることになります。「特定活動(出国準備)」の場合、在留期限内に申請できる場合とできない場合があります。申請ができない場合は、帰国をせざるを得ません。
「特定活動(出国準備)」中に申請を行った場合、在留期限経過後は自動的に2か月の特例期間に入る場合とそうでない場合があります(場合によって対応が異なります)。もし特例期間に入る場合には、この期間内に必ず申請の結果は出ます。不許可の理由を払しょくできていれば、許可になる可能性はあります。もし、また不許可になってしまった場合は「特定活動(出国準備)」を再度もらうことになります(これも場合によります。必ず入管の指示に従ってください)。
ここで帰国をすることになった場合、呼び寄せるための「在留資格認定証明書交付申請」を行うことができます。2回不許可になった後、一度帰国し、3回目の認定申請で許可になるような事例もたくさんあります。
不許可にならないために申請前にできること
不許可を極力出さないようにするためのポイントは以下です。
- 要件を満たしているかをしっかりと確認する
- 要件を満たしていることをしっかりとアピールする
この2点に尽きるのではないでしょうか。要件を満たしていない場合は、在留資格の申請の場合は許可は絶対に得られません。また、要件を満たしているかどうかをは申請者に説明する義務があります。入管のHPに掲載されている必要書類のリストは最低限のものです。場合によっては、要件を満たすことを示すために大量の添付資料を提出しなければならないこともあります。
特に在留資格「日本人の配偶者等」の申請においては、出会いから結婚までの経緯や日本での生活について、十分な説明が必要です。申請までに在留資格についてよく理解をして、しっかりと準備をする必要があると言えます。
まとめ
以上、申請がもし不許可になってしまった場合について解説しました。
一度不許可になってしまっても、その理由が取り除ければ許可はもらえますし、不許可の理由は入管で知ることができます。ただ、不許可になってしまうと驚いてしまうと思います。本ページに紹介している通知書が届いた場合は、まずは慌てずに状況を確認されてください。一度不許可の記録が付いた申請を再度申請することは、少なからずハードルが上がりますので、できれば在留資格に詳しい専門家に1度ご相談されるのがよいかと思います。