【徹底解説!】「日本人の配偶者等」の申請ポイントと準備の流れについて

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日本人と結婚すれば、「日本人の配偶者等」という在留資格を取得することで、日本で生活することができるようになります。
ただしこの「日本人の配偶者等」という在留資格は、近年の偽装結婚の増加により審査が厳しいことも事実です。問題の無い結婚である場合にも、「不許可」になることも少なくありません。
本編では、在留資格「日本人の配偶者等」についての申請のポイントや手続きの流れについて説明します。

在留資格「日本人の配偶者等」について

日本人と結婚したり、日本人の外国籍の子どもは「日本人の配偶者等」を取ることで日本で生活することができます。在留資格というのは、外国人が日本で在留するためには必ず必要なものになります。まずは「日本人の配偶者等」がどういう在留資格か確認してみましょう。

「日本人の配偶者等」で申請できる人について

この在留資格で日本に呼ぶことができる家族として、「配偶者(妻・夫)」は当然のこと、日本人の配偶者【等】の【等】には子どもも含みます。まとめると、『日本人の配偶者等』で呼べる家族は以下の通りです。

在留資格「日本人の配偶者等」で日本の申請ができる人
・配偶者:妻・夫
・実子
・特別養子縁組をした養子

さらに詳しく説明すると、(呼びたい外国人が)夫・妻の場合には、現在婚姻関係中の配偶者(妻・夫)でなければなりません。つまり、婚約中や内縁関係、死別や離婚した場合は対象になりません。
また、(呼びたい外国人が)子の場合には、日本人の子として出生した実子日本人の特別養子(一般の養子は対象になりません)が対象になります。

夫婦間の婚姻関係は、日本と母国の両方の法律で成立している必要があります。例えば、日本では男女ともに18歳以上から婚姻が可能ですが、他国では20歳以上の場合、片方の国だけで婚姻関係が成立しているだけでは足りません。

日本在住の方の場合は必ずしも変更しなければならないわけでは無い

既に日本在住の方の場合で、別の在留資格(例えば、「技術・人文知識・国際業務」)で在留している場合には、日本人と結婚したらすぐに在留資格を「日本人の配偶者等」に変更しなければならないと言うことはありません。
これは、出入国在留管理庁のQ&Aにも記載されています。

私は「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持っており、在留期間もまだ1年ほど残っています。まもなく日本人の女性と結婚する予定ですが、在留資格の変更手続をしなければならないでしょうか。

日本での仕事に変更がなく、引き続き同じ仕事に従事されるのであれば、現在有している「技術・人文知識・国際業務」の在留資格のままで在留することも可能ですし、また、日本人と結婚された後に「日本人の配偶者等」の在留資格へ在留資格変更許可申請を行うことも可能です。なお、「日本人の配偶者等」への在留資格変更許可が認められた場合は、就労活動(職種)に制限がなくなります。

出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」Q33より

上記の通り、活動内容(仕事内容)に変更が無ければ、「日本人の配偶者等」に変えなければならないと言うことはありません。次の在留期間の更新のタイミングで変更をするのでもよいですし、すぐに変更してもよいですし、もしくは、今の在留資格を期間更新をしても問題ありません。
(ただし、入管の相談窓口によっては変更することを“推奨”される場合もあるようです。)

「日本人の配偶者等」では、日本で仕事も自由にできる

前項のQ&Aにもある通り、「日本人の配偶者等」では就労活動(職種)に制限はありません。つまり、アルバイトや就労ビザで認められないような職種(例えば、「技術・人文知識・国際業務」で工場などのライン作業)、起業についても自由にできます。日本人と同じように自由に働くができます。
また、婚姻関係が継続している限り維持ができる在留資格ですので、働かなくても大丈夫です。

在留資格「日本人の配偶者等」の申請のポイント

「日本人の配偶者等」では、特に以下の点が審査をされ、詳しく確認される傾向があります。

・結婚が適法なものであること
・結婚生活が、同居のもとお互いに助け合い支え合うものであること

そしてこれらを申請書類に添付する書類の中でアピールしていかなければなりません。

ポイント① 結婚関係が真実であること

「日本人の配偶者等」では、その婚姻関係が真実のものでなければなりません。
「真実でない結婚」というのは、ビザを取るためだけの結婚であり、実際には夫婦関係になっていない偽装結婚であったり、実質的には離婚状態であるのにもかかわらず、ビザのためだけに結婚関係を続けている場合などがあります。

「日本人の配偶者等」は、就労ビザと比較して永住者や日本国籍取得(帰化)の際に、緩和される要件があったり、就労制限がないことから、“使い勝手のよい在留資格”です。このために悪用されやすく、入管もこの「偽装結婚」については特に注意をしています。

上記の理由から、「日本人の配偶者等」の申請の中では、「質問書」という決まったフォーマットに、出会った経緯~交際に至った経緯~結婚に至った経緯を詳細に書いて、「真実の結婚」であることをアピールをしていかなければなりません。
恥ずかしいかもしれませんが、偽装結婚でなければ多くの情報をかけるはずですので詳細に記入をしていきます。場合によっては、その「質問書」の内容に加えて、電話の記録やチャットやメールでのやり取りなどかなりプライベートな内容も添付する必要があります。

ポイント② 結婚生活が、同居のもとお互いに助け合い支え合うものであること

「日本人の配偶者等」の在留資格の場合、明確な「年収要件」はありませんが、日本で安定した生活を送れることを証明する必要があります。基本的に2人の収入や財産によって毎月赤字を出さずに生活できることをアピールすることが重要です。収入は、外国人本人のものでも、配偶者(妻・夫)のものでも、もしくは両方(合計)でも、十分に生活できるだけの収入が見込めれば問題ありません。

夫婦そろって日本に生活拠点を移す場合など、入国時は無職である場合もあります。日本企業での内定が決まっていて十分な収入が見込める場合にはそれでも問題はありません。もしくは、日本に来てから就職活動をする場合には、当面の生活費について説明できなければなりません。この場合、貯蓄や親族からの援助などについて説明をすることになります。

「日本人の配偶者等」の申請では、住民税の「課税証明書」や「納税証明書」を提出することになります。税金の未納は、税金を払っていない場合、その申請者の経済的能力が不十分であると判断される可能性があるため注意が必要です。

また、入管は夫婦関係のポイントとして「同居」が一つのキーワードになってきます。今どき、夫婦の在り方は様々ですが、新婚の場合、よほどの事情が無い限り「同居」をしていなければ許可は得られにくくなります。

ポイント③ 書類がしっかり準備できていること

「日本人の配偶者等」に限らず、在留資格の審査の基本は「書面審査」です。申請するときに窓口で説明を聞いてもらえると言うことも無く、不許可になった場合に理由を教えてもらえる機会をもらえますが、そのときに説明すれば逆転して許可になることもありません。申請時に、しっかりと添付資料として申請書と一緒に提出できなければなりません。
入管のホームページに載っている必要書類リストは申請を受理するための最低限の内容です。場合によってはそれ以上の書類を集めて提出する必要もありますが、まずは必要書類リストに沿ってしっかりと漏れなく集めることが重要です。

申請手続きの流れを把握する

「日本人の配偶者等」の申請をする場合、要件を満たしていることを確認し、書類を揃えた後に住んでいる地域を管轄する「出入国在留管理局」で申請をします。

海外から家族を呼ぶ手続き ~在留資格認定証明書交付申請~

海外にいる家族(妻・夫・子)を日本に呼ぶ場合の手続きを「在留資格認定証明書交付申請」といいます。この手続きは、出入国在留管理局で呼ぶ側(日本人)が代理人となって手続きを行います。もし、夫婦ともに海外にいる場合には、日本人の親族が代理人となって手続きをすることができます。

他の在留資格から「日本人の配偶者等」へ変更する手続き ~在留資格変更許可申請~

既に日本で生活している家族(妻・夫・子)の在留資格を「日本人の配偶者等」に変更する場合には、「在留資格変更許可申請」を行います。この手続きは、日本人の家族(妻・夫・子)が住んでいる地域を管轄する「出入国在留管理局」で手続きを行います。

必要書類について

配偶者(妻・夫)の場合
・在留資格認定資格認定証明書交付申請書/在留資格変更許可申請書
・証明写真
・配偶者(日本人)の戸籍謄本
・外国人の国籍国の機関から発行された結婚証明書
・日本での滞在費用を証明する資料
・配偶者(日本人)の身元保証書
・配偶者(日本人)の世帯全員の記載のある住民票の写し
・質問書
・夫婦間の交流が確認できる仕様(スナップ写真や通話記録等)
※詳細はこちら
※上記のほかに、結婚生活について補足で説明する書類や過去の在留状況を示す書類を出す場合もあります。上記の内容は最低限の書類になります。
子の場合
・在留資格認定証明書交付申請書/在留資格変更許可申請書
・証明写真
・申請人(日本人)の親の戸籍謄本又は除籍謄本(全部事項証明書)
・(日本で出生した場合)出生届受理証明書/認知届受理証明書
・(海外で出生した場合)出生証明書/認知に係る証明書
・(特別養子縁組の場合)特別養子縁組届出受理証明書 等
・日本での滞在費用を証明する資料
・親(日本人)の身元保証書
※詳細はこちら
※上記のほかに、生活について補足で説明する書類や過去の在留状況を示す書類を出す場合もあります。上記の内容は最低限の書類になります。

出入国在留管理局へ申請をする

基本的に申請は申請人の居所を管轄する入管、もしく外国人や申請代理人の居住地を管轄する入管で行います。

申請先については下記の通り 決まりがあります。

【原則】申請先の決まり
【在留資格認定証明書交付申請】※外国人が海外にいる場合
居住予定地もしくは申請代理人の住居地を管轄する地方出入国在留管理官署
【在留資格変更許可申請 or 在留期間更新許可申請】
住居地を管轄する地方出入国在留管理官署
地方出入国在留管理官署管轄する区域
札幌出入国在留管理局北海道
仙台出入国在留管理局宮城県、福島県、山形県、岩手県、秋田県、青森県
東京出入国在留管理局東京都、神奈川県(横浜支局が管轄)、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、
群馬県、山梨県、長野県、新潟県
名古屋出入国在留管理局愛知県、三重県、静岡県、岐阜県、福井県、富山県、石川県
大阪出入国在留管理局大阪府、京都府、兵庫県(神戸支局が管轄)、奈良県、滋賀県、和歌山県
広島出入国在留管理局広島県、山口県、岡山県、鳥取県、島根県
福岡出入国在留管理局福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県、鹿児島県、宮崎県、
沖縄県(那覇支局が管轄)

分局が近くにない場合には、最寄りの支局や出張所での申請も可能です。ただし、支局や出張所次第では在留資格の申請を受け付けていない場合もあるため確認が必要です。

▶出入国在留管理庁:管轄について

誰が申請をするのか

海外から呼び寄せる場合には、基本的には申請人(外国人)を招へいする本邦に居住する日本人か、日本人の親族が代理人として申請を行うことができます。申請人の居住予定地か親族などの申請代理人の住居地を管轄する入管に申請に行きます。申請人が16歳未満の子どもの場合は、法定代理人(父母等)が代理人として申請することができます。
いずれの場合にも夫婦そろっての同時入国は条件が揃っていれば可能です。

一方、届け出を行っている「取次者」であれば、申請を代わって行うことができます。「取次者」の例として、行政書士、弁護士が該当します。
※行政書士に依頼することもできます。

許可後はここに注意!~在留期間について~

多くのケースで初めて「日本人の配偶者等」の在留カードをもらう場合、1回目は在留期間は「1年」であることが多いです。この在留期間は、希望を「5年」としても「1年」や「3年」が出る場合があります。この在留期間は「在留期間更新許可申請」を行うことで延長することができます。

うっかり在留期限を過ぎている、と言うことが無いように注意をして下さい。

まとめ

以上、「日本人の配偶者等」の申請ポイントや申請の流れについて解説しました。
「日本人の配偶者等」は家族であれば当然に日本に呼ぶことができる在留資格(ビザ)ではありません。偽装結婚が増えているため、近年ますます審査が厳しくなっています。しっかり準備を行って、いち早く家族で日本で生活ができるよう準備をされて下さい。

【行政書士からのアドバイス】
添付書類の一つである「質問書」はなるべく詳しく書かれることをおすすめします。
書き方が分からない場合や、その他の部分で不安がある場合は、是非当事務所にご相談ください。

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