在留資格「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」などの配偶者ビザには在留期限があります。この在留期間満了日以降も、日本での生活の継続を希望する場合には、在留期間の更新をする手続きをしなければなりません。この手続きを「在留期間更新許可申請」といいますが、申請は在留期限の3ヶ月前から在留期間満了日までに行います。
本編では、配偶者ビザの更新手続きについて解説します。
在留期限満了日にご注意を
「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」などのいわゆる配偶者ビザをお持ちの方は、在留期限があります。この期限は在留カードを見ることで確認することができます。
現在の在留期限満了日を超えて、引き続き日本で結婚生活を継続する場合には、在留期間の更新が必要になります。
「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」などの場合には、更新回数に上限はありません。
更新の手続きはいつまでに行えばよいのか
在留期間更新許可申請は在留期限の3ヶ月前から在留期間満了日までに行います。在留期限当日が休日で入管が閉庁しているときは、翌日まで申請ができます。
申請は在留期間満了日の3か月前からできます
在留期間を更新する手続きを「在留期間更新許可申請」といいます。この手続きは、在留カード記載の「在留期間(満了日)」の日の3ヶ月前から申請することが可能です。
例えば、「2023年11月1日」が在留期間の満了日の場合、2023年9月20日に申請を行い2023年10月20日に「1年」延長の許可が出て新しい在留カードの交付を受けた場合、在留期限は「2024年11月1日」になります(「2024年10月20日」にはなりません)。
つまり、早めに申請をして在留期限到来前に許可が出た場合でも、在留期限が短くなって損をするということはありません。余裕を持った対応が可能ですし、損をすることは無いため余裕を持った申請をお勧めします。
▶出入国在留管理庁『在留期間更新許可申請』
申請はいつまでにおこなえばよいのか
在留期間更新許可申請は、在留期間満了日までに行います。
例えば、在留期限が2023年11月1日の人は、一番遅くても2023年11月1日に申請できれば問題はありません。しかし、1日でも遅れたり、うっかり忘れていたとしても、過ぎてしまうとオーバーステイになります。
在留期間の更新には周りの協力や書類の準備が必要です。在留期限の間近に気が付いたときには、準備が間に合わないと諦めたくなるかもしれません。入管の方もオーバーステイにならないように真摯に対応してくださります。準備が間に合わなくても、在留期限当日までに入管に行って、相談と手続きを行ってください。
在留期限の末日が休日の場合
ただし、在留期限の末日が休日の場合には例外があります。
在留期限が末日の場合の対応について、審査要領「第10編 在留審査」において下記のように定められています。
在留資格変更許可申請及び在留期間更新許可申請について
審査要領「第10編 在留審査」
在留期間の満了日が休日に当たる場合で、当該申請が直近の開庁日に提出されたときは、通常の申請受付期間内の申請として受け付けるものとする。
休日法において、行政機関の休日は下記のとおり定められています。ここに定められた休日の翌日であれば在留期間内として受理されるということになります。
1 次の各号に掲げる日は、行政機関の休日とし、行政機関の執務は、原則として行わない者とする。
一 日曜日及び土曜日
二 国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に規定する休日
三 12月29日から翌年の1月3日までの日(前号に掲げる日を除く)
(2~3省略)
つまり、ご自身の在留期間満了日に休日などで入管が閉庁している場合は、その翌日まで手続きが可能ということになります。この場合は、翌日に手続きをしてもオーバーステイにはなりません。
手続きが遅くなってしまった!申請中に在留期限が到来する場合
在留期間内に申請をしていれば、審査期間中に在留期限が来てしまっても、問題無く在留を継続することができます。これは「特例期間」と呼ばれる期間に自動で入るからです。
特例期間とは
例えば、在留期間満了日に入管で更新の申請を行った場合、次の日からは自動で「特例期間」に入ります。この特例期間は、在留期間満了する日から2か月が経過する日もしくは、在留申請の結果が出る日までのどちらか早い日まで続きます。
在留カードを所持している方が,在留期間更新許可申請又は在留資格変更許可申請(以下「在留期間更新許可申請等」という。)を行った場合において,当該申請に係る処分が在留期間の満了の日までになされないときは,当該処分がされる時又は在留期間の満了の日から二月が経過する日が終了する時のいずれか早い時までの間は,引き続き従前の在留資格をもって我が国に在留できます。
出入国在留管理庁『特例期間とは?』
申請した場合には、在留カードの裏面に在留資格に関する申請の最中であることが分かるようになっています。オンライン申請の場合は、スタンプは押されませんが、申請後に届く申請番号が書かれたメールを一緒に携帯していれば問題ありません。
Q4-38 オンラインで申請を行った後に在留期間が経過したのですが、申請中(特例期間中)であることはどのように証明すればいいですか。
A4-38 オンライン申請を行った場合は、在留カードに加えて受付完了メールを携行してください。
出入国在留管理庁『オンラインでの申請手続に関するQ&A』
なお、金融機関における口座開設の手続に必要である等の理由により、在留カード裏面への在留申請中の押印及び申請受付票の交付を希望する場合は、オンライン申請を受理した地方出入国在留管理官署へご相談ください。
ちなみに、在留審査の結果は原則、特例期間内に出ます。もし万が一、在留期間満了までに結果が出ない場合は、ご自身でで入管の窓口に問合せましましょう。
窓口で申請をした際に受け取る申請受付票の裏面にも、申請後の注意事項が記載がされています(東京入管の場合)。ご自身でもよく確認をしてください。
配偶者ビザの更新時の審査ポイント
在留期間の更新について、出入国在留管理庁はガイドラインを発表しています。基本的には、日本の法律を守り、前回の申請した内容から大きく変わる生活をしていなければ、更新手続きは難しくありません。
「在留期間更新許可申請」の審査ポイント
在留期間の更新について、 出入国在留管理庁が発表している『在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン』において審査ポイントについて説明をしております(入管HPで閲覧できます)。
更新の審査において下記のポイントを総合的に勘案して行うこととされています。
1 行おうとする活動が申請に係る入管法別表に掲げる在留資格に該当すること
在留資格の変更,在留期間の更新許可のガイドライン
2 法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること
3 現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと
4 素行が不良でないこと
5 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
6 雇用・労働条件が適正であること
7 納税義務を履行していること
8 入管法に定める届出等の義務を履行していること
基本的に、前回の申請(許可)から大きく状況が変わらず、結婚生活を継続している場合には「7 納税義務を履行していること」が問題なくできていれば、更新時に不許可になるリスクは少ないです。
また、「5 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」については、外国人本人だけでなく世帯で安定した生活ができていれば問題はないと言えます。
しかし、例えば(離婚を検討しており)別居をしている、世帯収入が著しく減った、納税義務を履行していない、といった場合にはこのガイドラインを満たしていないと判断される場合があるので注意が必要です。スムーズに更新手続きを行うために、行政書士などのビザに詳しい人に相談されることをお勧めします。
▶出入国在留管理庁『在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン』
離婚・再婚をした場合は要注意
例えば、日本人と結婚していた人が離婚をし、また別の日本人と再婚する場合、このようなケースでも行う手続きは「在留期間更新許可申請」になります。再婚後の初めての更新申請は、初めて配偶者ビザを申請をしたときのように、再婚までの経緯を丁寧に説明をしなければなりません。
「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」で在留していた人は、在留期間の残り日数にかかわらず、離婚後に再婚や状況に合わせて在留資格を変更せずにそのまま日本にいられる期間は6か月になります。6か月という期間内に再婚までたどり着く、というのは、一般的に「交際期間が短い」と考えられますので、入管から偽装結婚が疑われやすい原因になります。
つまり、結婚生活を問題なく継続してきた方の更新申請と、離婚・再婚をした方の更新申請では、準備する書類の量は変わりますし、申請の難易度は変わります。この場合も、早めに行政書士などのビザに詳しい人に相談されることをお勧めします。
更新時に「理由書」は必要?
おそらく多くの方が、初めて配偶者ビザを申請された際に、「質問書」や「理由書」を作成して申請されたかと思います。よく、更新時も「理由書」は必要ですか?と質問をいただきますが、基本的には不要です。
ただし、前に説明したように、(離婚を検討しており)別居をしている、世帯収入が著しく減った、納税義務を履行していないなどの今までとこれから在留状況に懸念がある場合、離婚・再婚をした後の初めての更新手続きの場合には、経緯やこれからの生活について説明した「理由書」を準備したほうがよいと言えます。
更新手続きの流れと必要書類について
ここまで、在留期間更新許可申請の申請時期や申請のポイントについて解説をしてきました。実際の更新手続きについて説明をします。審査期間が思っていたよりも長くなる場合もありますので、安心して日本で生活を続けるためにも早めに準備に取り掛かりましょう。
申請から更新完了(新しい在留カードの受取)までの流れ
この手続きは、お住まいを管轄する出入国在留管理局で手続きを行います。申請ができる方は原則、外国人ご本人になります。取次資格を持っている行政書士や弁護士に依頼することもできます。
必要書類について ~「日本人の配偶者等」の場合~
配偶者(妻・夫) |
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・在留期間更新許可申請書 ・証明写真 ・配偶者(日本人)の戸籍謄本 ・外国人の国籍国の機関から発行された結婚証明書 ・日本での滞在費用を証明する資料(住民税の課税証明書、納税証明書、勤務先の在職証明書など) ・配偶者(日本人)の身元保証書 ・配偶者(日本人)の世帯全員の記載のある住民票の写し ・在留カード/パスポートの提示 |
※上記のほかに、結婚生活について補足で説明する書類や過去の在留状況を示す書類を出す場合もあります。上記の内容は最低限の書類になります。
子の場合 |
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・在留資格変更許可申請書 ・証明写真 ・日本での滞在費用を証明する資料 ・親(日本人)の身元保証書 ・親(日本人)の世帯全員の記載のある住民票の写し ・在留カード/パスポートの提示 |
※上記のほかに、生活について補足で説明する書類や過去の在留状況を示す書類を出す場合もあります。上記の内容は最低限の書類になります。
出入国在留管理局へ申請をする
ビザの入管での手続きは、基本的には外国人の住む地域の最寄りの入管で、外国人本人が行う手続きです。
どこで申請するのか
申請先は住居地を管轄する地方出入国在留管理官署(基本的には最寄りの入管)になります。
分局が近くにない場合には、最寄りの支局や出張所での申請も可能です。ただし、支局や出張所次第では在留資格の申請を受け付けていない場合もあるため確認が必要です。
▶出入国在留管理庁:管轄について
誰が申請をするのか
基本的には、申請人(外国人)本人が申請人の住居地を管轄する入管に申請に行きます。
申請人が16歳未満の子どもの場合は、法定代理人(父母等)が代理人として申請することができます。
また、申請人が海外にいる場合には、申請人(外国人)を招へいする本邦に居住する本人の親族が代理人として申請を行うことができます。
一方、届け出を行っている「取次者」であれば、申請を代わって行うことができます。「取次者」の例として、行政書士、弁護士が該当します。
※行政書士に依頼することもできます
まとめ
以上、「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」などの配偶者ビザを持つ方の在留期間更新許可申請について説明しました。
申請は、在留期間満了日の3か月前から満了日当日までに行います。もし、申請中に在留期限を過ぎてしまった場合でも、自動で「特例期間」という期間に入り、その期間内であれば在留は問題なくできます。審査はこの特例期間内に基本的には終わります。
早めに申請したほうが安心だと思いますので、早めに準備に取り掛かってください。