在留資格申請の中でも「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」「永住者」の申請には、添付書類に「身元保証書」を添付が必要です。「保証書」と聞くと誰がなれて、また、どの程度の責任が生じるものなのか気になるかと思います。本編では、身元保証書についての説明と具体的な書き方について説明します。記入例だけを確認されたい方は目次より”「身元保証書」の書き方”に飛んでください。
身元保証書とは
「身元保証書」の内容、生じる責任について解説します。
保証をする内容
2023年8月現在、身元保証書は「永住許可申請」用とそれ以外に分かれています。
永住許可申請の場合
永住許可申請で保証する内容は下記になります。
私は上記の者の永住許可申請に当たり、本人が本邦に在留中、本邦の法令を遵守し、公的義務を適正に履行するため、必要な支援を行うことを保証いたします。
身元保証書(永住許可申請用)
つまり、日本の法律を守ることや、納税などの義務を履行するためのサポートを行うことの保証となります。
日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者(永住許可以外)
永住者以外の在留資格で保証する内容は下記になります。
1.滞在費
身元保証書(永住許可申請は除く)
2.帰国旅費
3.法令の遵守
永住者以外の場合は、多くのケースが配偶者(妻・夫)や親、親族が身元保証人となります。家族が支えあって生活することが望まれています。
保証人になれる人と責任について
入管法における身元保証人は誰しもがなれるものではありません。出入国在留管理庁のHPにも責任の範囲について記載があるので紹介します。
保証人になれる人
基本的には、日本人もしくは外国人の場合は永住者や特別永住者の方がなれます。
「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」では配偶者(妻・夫)や扶養者(親など)に限定されることもあります。
責任の範囲
責任の範囲について、入管HPに以下のような記載があります。
Q52 提出書類に身元保証書がありますが、「身元保証人」とはどのようなものでしょうか。また、身元保証した際の責任はどうなっているのでしょうか。
▶出所:出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」
A 入管法における身元保証人とは、外国人が我が国において安定的に、かつ、継続的に所期の入国目的を達成できるように、必要に応じて当該外国人の経済的保証及び法令の遵守等の生活指導を行う旨を法務大臣に約束する人をいいます。 身元保証書の性格について、法務大臣に約束する保証事項について身元保証人に対する法的な強制力はなく、保証事項を履行しない場合でも当局からの約束の履行を指導するにとどまりますが、その場合、身元保証人として十分な責任が果たされないとして、それ以降の入国・在留申請において身元保証人としての適格性を欠くとされるなど社会的信用を失うことから、いわば道義的責任を課すものであるといえます。
「保証人」と聞くと、金銭的な補償をしなければならないと大変なことになる、と想起しがちですが、入管法における「身元保証人」は法的な強制力はありません。ここに記載されている通り、何かトラブルがあってこの保証書通りの保証がされない場合は、次の申請で影響が出る可能性があるというものになります。
「身元保証人」が見つからない場合
上記の通り、入管法における「身元保証人」には法的な強制力はありません。民法でいうところの「保証人」や「連帯保証人」とは性格が異なるものになるため、このことを丁寧に説明して理解をいただき、なるべく「身元保証人」になっていただけるようお願いするのがよいです。
それでもどうしても見つからない場合には、理由書などで補完をしながら説明することになりますが、可能な限り避けたほうがよいかと思います。
「身元保証書」の書き方
保証する内容は異なりますが、記載内容は同じですので「各申請共通(永住許可申請は除く)」のフォーマットを例に説明します。
- 日付:記入をする日の日付を書きます
- 国籍・氏名:在留カード通りもしくはパスポート通りに記載します。
ここに記載する氏名は申請人(外国人)になります。 - 氏名(直筆):身元保証人の氏名をご本人が直筆で記入します。ゴム印などは不可です。
- 住所:住民票通りに記載するのがよいです。電話番号は固定電話・携帯電話のどちらでも大丈夫です。
- 職業:「会社員」「会社役員」「個人事業主」などと記入します。
- 国籍・地域:外国籍の方の場合は在留カード通りに記載します。日本国籍の場合は「日本国籍」だけで大丈夫です。
- 被保証人との関係:被保証人(申請人・外国人)との関係を記載します。永住許可申請をする方で、会社の方に記入してもらう場合には「雇用主」などと記載します。
「身元保証書」のフォーマットについて
まとめ
以上、永住申請や日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者の申請などで提出が求められる「身元保証書」について解説しました。
入管法でいうところの「保証人」は、あくまで日本での適切な生活をサポートする人のような役割になり、大きな強制力はありません。保証内容や保証人になれる人は申請する在留資格によっても異なりますので、用紙や入管HPの注意書きなども確認しながら記入をしてください。
【行政書士からのアドバイス】
「身元保証書」についてなれる人、責任の範囲などをよくご質問いただいております。頼みにくいと感じられるところはあるかもしれませんが、「出さない」という選択肢はなるべく選ばないでください。身元保証人の方への説明が必要も対応しておりますのでお問い合わせください。