【解説】日本人の配偶者等から永住申請の準備をする

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日本人の配偶者(妻・夫)の方の場合、日本に来てから永住申請するまでに10年待つ必要は無く、結婚をしてから3年経っていて、日本に来てから1年経っていれば申請することができます。永住申請の審査の厳しさは年々増しており、これについては日本人の配偶者の方であっても例外ではありません。本編では、入管が公表している資料から永住申請の要件を解説いたします。

永住者になるための要件について ~「永住許可に関するガイドライン」について~

永住許可をもらうための要件については、出入国在留管理庁ホームページ「永住許可に関するガイドライン」にて公表されています。
▶出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン

ガイドラインに記載されている要件は大きく分けて3つあります。
①素行善良要件②独立生計要件③国益適合要件となっています。

1 法律上の要件

(1)素行が善良であること
法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。

(2)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。

(3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
ア 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。
イ 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。
ウ 現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。
エ 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。

※ ただし、日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には、(1)及び(2)に適合することを要しない。また、難民の認定を受けている者、補完的保護対象者の認定を受けている者又は第三国定住難民の場合には、(2)に適合することを要しない。

出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン

ここに記載されている通り、在留資格が「日本人の配偶者等」の方に限らず、日本人と結婚されている方の場合には、③国益適合要件については重点的に審査されます。また、「10年以上の在留」については特例の適用を受けます。

③国益適合要件について

③国益適合要件ですが、近年非常に厳しく審査をされる傾向があります。特に公的義務の履行については、まさに重箱の隅をつつくような審査が行われています。

「日本人の配偶者等」で在留する人の在留期間に関する要件

日本人と結婚されている方の場合は、「10年以上の在留」については特例があります。

日本人、永住者及び特別永住者の配偶者の場合、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上本邦に在留していること。その実子等の場合は1年以上本邦に継続して在留していること

出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン

日本人の配偶者(妻・夫)の方は、結婚をしてから3年以上・日本に来てから1年以上の経過で永住申請が可能です。
ただし、「現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。」という要件は満たしている必要があります。「日本人の配偶者等」の場合、在留期間は「1年」「3年」「5年」とありますが、現時点では「3年」「5年」の在留期間を持っていれば申請は可能です。

公的義務をきちんと履行している

公的義務の履行については、「届け出義務の履行」と「税金や社会保険の納付義務の履行」の2つの点が見られます。

納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付について

特に注意が必要なのが社会保険や税金の支払いについてです。
これについては提出が求められている期間に「未納が無い」ということだけでは足りず、1回も納付期限に遅れたことが無いことが条件になります。たった1回たった1日でも期限を超過して支払った場合、永住申請は不許可になる可能性が高い(実際ほとんどの方が不許可になっています)ので注意が必要です。

審査の対象となる税金は様々ですが、納付期日まで確認されるのは「住民税」「国民健康保険」「国民年金」です。会社員で給料から住民税や社会保険料が天引きされている場合はこれについて心配はありませんが、会社員の方でも住民税は自分で払っている場合(普通徴収)や、自営業の方などで「国民年金」や「国民健康保険」に加入している方はすべての領収書を細かく確認する必要があります。

また、日本人とご結婚されている方で、扶養されている方については、日本人の納税状況を証明する資料を提出しなければなりません。

届け出義務について

届け出義務の代表的なものとして、入管に提出をする「配偶者に関する届け出」と転居した際に市区町村役場に対して「転出届・転入届」を出しますが、これらが当てはまります。

罰金刑・懲役刑を受けていない

これについては文字通りですが、注意が必要なのは交通違反です。
交通違反をしてしまった後に支払うペナルティーには罰金と反則金があります。重大な違反を犯し赤キップ(交通切符)を切られてしまった場合は罰金刑に該当するため、しばらく(おおよそ5年)は永住申請はできなくなります。一方、青キップ(交通反則告知書)については行政処分であり、罰金刑ではありません。

交通違反だけでなく罰金刑や懲役刑を受けた方は、しばらく時間が経過したのちでなければ永住申請はできません。罰金刑の場合は支払った日から5年以上、禁固された方なら執行の終わりから10年以上経ってからの申請になります。

永住申請の必要書類について ~日本人の配偶者の場合~

日本人の配偶者(妻・夫)の方が永住申請する場合に必要になる書類について紹介します。出入国在留管理庁のホームページにも掲載されている内容です。状況や個々の事情に応じて以下の基本的な書類に加えて補強するための書類も提出することがあります。

永住申請必要書類 ~日本人の配偶者の場合~
1.申請書
2.証明写真(4cm×3cm)
3.日本人配偶者の方の戸籍謄本(全部事項証明書)
4.申請人を含む家族全員(世帯)の住民票
5.申請人および申請人を扶養する方の職業を証明する次のいずれかの資料
(1) 会社等に勤務している場合:在職証明書
(2) 自営業等である場合   :確定申告書控えの写し、営業許可書の写し
  ※ 自営業等の方は、自ら職業等について立証していただく必要があります。
(3) その他の場合      :職業に係る説明書(書式自由)及びその立証資料
6.直近(過去3年分)の申請人および申請人を扶養する方の所得及び納税状況を証明する資料
直近3年分の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書
直近3年間において住民税を適正な時期に納めていることを証明する資料(通帳の写し、領収証書等)※普通徴収の場合
7.源泉所得税及び復興特別所得税、申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税、相続税、贈与税に係る納税証明書(その3)
8.次のいずれかで、所得を証明するもの:預貯金通帳の写しなど
9.直近(過去2年間)の公的年金の保険料の納付状況を証明する資料
「ねんきん定期便」/ねんきんネットの「各月の年金記録」の印刷画面/国民年金保険料領収証書(写し)
10.直近(過去2年間)の公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料
健康保険被保険者証(写し)/国民健康保険被保険者証(写し)/国民健康保険料(税)納付証明書/国民健康保険料(税)領収証書(写し)
11.パスポート(申請時に提示します)
12.在留カード(申請時に提示します)
13.身元保証書 
14.身元保証人の身分事項を明らかにする書類(運転免許証写し等)
15.了解書

※上記は一例です。詳しくはこちらをご確認ください。

まとめ

以上、日本人の配偶者(妻・夫)の方の永住申請をする場合の審査のポイントと必要書類について説明しました。
日本人の配偶者の方が永住申請をする場合は③国益適合要件を中心に審査されます。特に、税金や年金の支払いについて重点的に審査がされますので注意が必要です。現在、特に都市部の永住申請は審査に時間がかかります。結果が分かるまでに場合によっては1年以上かかりますので、よくよくご自身が永住許可の要件を満たしているか確認してから申請されることをお勧めします。

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