日本で生活する外国籍の家族が亡くなった場合のビザの手続きについて

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「日本人の配偶者等」や「永住者」、「家族滞在」の在留資格で生活する外国人の家族が亡くなった場合、入管に対して行う手続きがあります。とても悲しい時期に行う手続きにはなってしまいますが、日本で生活を続けるうえでは、必要な手続きになります。
日本で生活する外国人の家族が亡くなった場合の入管に対しての手続きについてまとめました。

日本で生活する外国籍の家族が亡くなった場合にする入管での手続き

「亡くなったこと」をしたことで入管で行う手続きは、「亡くなったことについて」の手続きと「在留資格(ビザ)の変更」の2つがあります。

家族が亡くなったことで入管での手続きは3つ

日本で生活を送っている外国人の家族が亡くなった場合、外国人が亡くなった場合には「在留カードの返却」を行います。また、結婚を理由に在留資格を取得している場合(例えば「日本人の配偶者等」、「永住者」、「家族滞在」)には、「配偶者に関する届け出」を行い、生活を継続したい場合には「在留資格の変更」が必要になります。

亡くなった家族の在留カードの返却(外国人の場合)

亡くなった家族が外国人の場合、亡くなった方の在留カードは出入国在留管理庁に返却をします。返却をする場合には、亡くなった日から14日以内に返却をします。この際には、「死亡証明書」も一緒に返却します。

▶出入国在留管理庁:「在留カード等の返納

亡くなった日から2週間以内に「配偶者に関する届け出」を提出する

結婚を理由に在留資格を取得している場合(例えば「日本人の配偶者等」、「永住者」、「家族滞在」)には、配偶者(妻・夫)と離婚や死別をした場合、離婚・死別をした日から14日以内に入管に対して「配偶者に関する届出」を出さなければなりません。もし14日を過ぎてしまっている場合でも、今から出したのでも遅くありません。今後も引き続き日本で生活をするために、在留資格を変更する場合があるのでしたら、この届出を提出しないことで審査が不利になってしまいます。必ず提出するようにしましょう。

決められた期限内に在留資格の変更も必要

「永住者の配偶者」「日本人の配偶者」「家族滞在」(家族滞在に類似した家族系の「特定活動」)は、どれも夫婦生活、もしくは家族一緒に生活することを前提にした在留資格(ビザ)になります。
このため、配偶者(妻・夫)と死別をした場合には決められた期間内に別の在留資格(ビザ)を変更するか、日本から出国するのが基本的なルールとなります。

決められた期間というのは、「永住者の配偶者等」と「日本人の配偶者等」は6ヶ月以内「家族滞在」(と、家族滞在に類似した家族系の「特定活動」)については3ヶ月以内が原則です。
「家族滞在」の場合は3ヶ月、「永住者の配偶者等」の場合は6ヶ月を1日でも過ぎたことで入管に呼び出される、と言うことは少ないかと思いますが、6ヶ月を超えて在留資格を変える手続きを行った場合、多くのケースで入管から理由を聞かれるか、もしくは審査が不利になる可能性があります。

ただし、日本で再婚をした場合でも、「日本人の配偶者等」で在留している人が「日本人」と再婚する場合や、「永住者の配偶者等」で在留している人が「永住者」と再婚した場合は在留資格の変更の必要はありません。詳しくは後で説明をします。

補足:死亡そのものの手続きについて

日本に居住する外国人が亡くなったときは、7日以内に市区町村役場に死亡届を提出します。この際に、日本で埋葬する場合には、「死体火埋葬許可書交付申請書」を提出し、許可を得たのちに火葬をします。
日本から外国へ遺体や遺骨を移送する場合は、在日公館に相談して手順を仰いでください。

家族が亡くなった後も日本で生活できますか?

家族と「死別」をしたことで入管で手続きが必要かどうかは在留資格(ビザ)次第になります。考え方としては、在留資格を取るきっかけが「結婚」だった場合には手続きが必要ですが、それ以外の理由で在留資格を取った場合には、在留カードの返却は行いますが、死別による在留資格の変更の手続きや、「配偶者に関する届け出」の提出は不要です。

「永住者の配偶者等」「日本人の配偶者等」「家族滞在」などの家族系の在留資格

「永住者の配偶者等」「日本人の配偶者等」「家族滞在」(家族滞在に類似した家族系の「特定活動」)などの家族系の在留資格の場合は、入管へ報告や手続きが必要になります。
必要な手続きは、死亡後14日以内に「配偶者に関する届出」を行い、帰国をせずに在留を継続する場合には決められた期間内に在留資格の変更許可申請を行います。

「永住者」や「技術・人文知識・国際業務」「高度専門職」などの就労系の在留資格

「永住者」の方の場合で、例えば「日本人」や「永住者」と結婚したことで、要件が緩和されて短い期間で「永住者」になった方も含めて、届け出やビザ変更などの手続きは不要です。

「技術・人文知識・国際業務」や「高度専門職」などの就労系の在留資格で在留していた場合も、届け出やビザ変更などの手続きは不要です。

離婚後の在留資格(ビザ)、どれに変更すればよいか?

配偶者(妻・夫)と死別をした場合、家族系の在留資格で生活していた方は、そのままの状態で日本にいるわけにはいかないため、在留資格(ビザ)の変更を検討します。就職した場合には就労ビザ、再婚した場合には家族ビザ、日本に残らなければならない事情がある場合には定住者ビザを検討します。

就職している(する)場合は、就労ビザ

就職している方の場合や無職の方の場合でも生計を維持するために就職を検討されるのではないかと思いますが、就職している(する)場合は就労系の在留資格を検討します。

サラリーマンとなってお給料をもらう場合、「技術・人文知識・国際業務」「技能」「特定技能1号」などが該当し、起業をする場合には「経営・管理」などの在留資格(ビザ)が該当します。また、その中でも特に優秀な方の場合には「高度専門職1号」を申請できる場合もあります。それぞれの在留資格によって学歴・職歴要件や可能な業務内容の範囲が異なります。以下によく取得されている就労ビザの一例をまとめました。

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再婚する場合は、家族ビザ

決められた期間内(3ヶ月もしくは6ヶ月以内)に再婚をし、他の家族ビザに変更することも制度上は可能です。
この場合、再婚相手の国籍や在留資格(ビザ)によって変更の有無や申請をする在留資格(ビザ)は変わってきます。例えば「永住者の配偶者等」で在留する人が、再婚相手が再び「永住者」(永住許可を得ている人)の場合はそのまま「永住者の配偶者等」になるため、次の更新まで在留資格申請は不要です。日本人と結婚した場合は「日本人の配偶者等」、就労ビザを持っている人と結婚した場合には「家族滞在」「特定活動」といった在留資格を検討します。この場合、注意点がいくつかあります。

まず、当然ですが、在留だけを目的とした偽装結婚は認められません。再婚に限らず、交際期間が短い2人の結婚からの在留資格申請は審査が厳しくなる傾向があります。3ヶ月以内・6ヶ月以内の再婚の場合、偽装結婚が疑われやすくなるので注意が必要です。また、日本は民法で再婚待機期間があり(2023年7月現在)、これは日本で結婚する外国人も適用されます。結婚ビザは結婚後に申請しますのでよく確認をして下さい。

今まで「永住者の配偶者等」で在留していた方の場合は注意が必要です。次に変更したい在留資格(ビザ)が「家族滞在」の場合は、「永住者の配偶者等」と違って扶養内で生活することが前提となるため就労制限があります。「資格外活動許可」を取れば週28時間までアルバイトなどは可能になりますが、フルタイムでお仕事をされていた方の場合はそれまで通りの就労は難しくなります。

その他日本に残らなければならない事情がある場合(定住者)

例えば日本での結婚生活が長く、母国に戻っても家族も仕事も無く、帰国することで不利益がある場合や、日本人の実子がいて親権があって日本で子育てをする場合には、「定住者」の在留資格を申請できる場合があります(“死別定住”という呼び方をしています)。
ただし、この「定住者」という在留資格は、どうしてものやむを得ない事情がある方が申請できるもので、一定の審査基準があり、日本人や永住者と死別した人すべてが取得できるものではありません。

「定住者」の変更申請をする

日本での結婚生活が長い方やその他特別な事情がある場合、「定住者」が認められる場合があります。申請のためには、しっかりとした準備が必要な在留資格になります。

離婚した後の定住者を申請できる場合

「定住者」は特別な事情がある場合のみ認められるものになります。そのため下記を満たしていれば必ず許可がもらえるものでは無いですし、下記を満たしていない場合でも許可になる場合もあります。特に「家族滞在」の方の場合はかなりハードルが高い申請になります。

・婚姻後、離婚するまでに一定期間(おおむね3年以上※)が経過している場合で、安定して日本で生活ができるだけの収入や資産がある場合
・その他、特別な事情(例えば、日本語しか話せない子を日本で育てる場合や、日本で治療を継続したい場合など)がある場合

※別居をしている期間が長い場合(入院期間などは証明があれば認められる可能性があります)、「一定期間の婚姻関係(結婚生活)が継続していた」と判断されない場合があります。

また、出入国在留管理庁のHPには「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」からの許可事例、不許可事例が掲載されています。少し古い情報ですがご確認ください。

▶出入国在留管理庁:「「日本人の配偶者等」又は「永住者の配偶者等」から「定住者」への在留資格変更許可が認められた事例及び認められなかった事例について

在留資格を「定住者」に変更する手続き

「定住者」の申請は、住居地を管轄する入管で手続きをします。手続きは本人が基本的に行いますが、申請取次ができる行政書士や弁護士に依頼することもできます。

いつまでに手続きをするのか

後、就労ビザに変更する場合には雇用契約を締結次第、速やかに申請をします。また、再婚をした場合は結婚が成立後に申請をします。前にも説明した通り、「日本人の配偶者等」が「日本人」と再度結婚した場合や。「永住者の配偶者等」の外国人が「永住者」と再度結婚した場合は、次の更新手続きまで在留資格申請は不要です(「配偶者に関する届出」は必要です)。定住者については準備でき次第になりますが、いずれの場合にも亡くなられてから定められた期限内に手続きをしましょう。

※この「定住者」については在留資格変更許可申請しかできません。一度在留カードを返納した後に、再入国するための手続き「在留資格認定証明書交付申請」はできません。

必要な書類について

外国人夫婦が死別をした方の「定住者」は、個別の状況に合わせて必要書類を準備をします。以下は一例になります。

必要書類(一例)
・在留資格変更許可申請書
・証明写真
・死亡届出受理証明書
・前配偶者の戸籍謄本
・雇用条件通知書/在職証明書
・貯金通帳のコピー
・住民税の課税証明書、納税証明書
・身元保証書
・住民票
・理由書
・在留カード、パスポート(窓口で提示)

理由書については日本に残らなければならない理由、日本で生活が問題無くできるだけの収入があることなど、しっかりと状況の説明をA4 2ページ程度でまとめるのがよいです。入管の審査官が知りたいであろ情報は漏らさず、でも簡潔に書くことがポイントです。

まとめ

以上、日本で生活を送る外国人の家族が亡くなった場合の入管に対しての手続きについて解説しました。
お持ちの在留資格によっては、日本で生活を続ける場合には在留資格の変更をしなければならない場合もあります。現在、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「家族滞在」で生活されている方は、注意が必要です。

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