外国人の養子を日本に呼んで一緒に生活をしたい場合、養親の国籍や在留資格、養子縁組の種類によって、「日本人の配偶者等」「定住者」「家族滞在」を申請することになります。在留資格によっては養親の扶養を受けることが前提になります。また、すべての養子がこれらの在留資格を申請できるわけではないので、当てはまらない場合は、就労ビザや留学ビザを検討します。
本編では、養親の国籍や在留資格別に養子が度の在留資格に当てはまるか解説をします。
養子とは
養子縁組とは、養親と養子との間に法律上の親子関係を作り出す制度です。
つまり、実子でなくても、法律上の親子関係になることができる制度にはなりますが、日本では養子縁組には「普通養子縁組」と「特別養子縁組」の2つのパターンがあります。
普通養子縁組とは
普通養子縁組は、縁組後も実親子関係が存続する養子縁組になります。
養親は20歳以上が条件となり、養親と養子本人の合意のもと、市区町村役所へ届け出ることで養子縁組は成立します。もし、用紙が15歳未満の場合は、用紙の法定代理人(親権者)が養子本人に代わって養子縁組の合意をします。
ただし、未成年者を養子にする場合は、家庭裁判所の許可が必要です。養子が配偶者(妻・夫)の子や孫、自分の孫の場合は、家庭裁判所の許可は不要です。また、未成年者と養子縁組をする場合、養親となる人に配偶者(妻・夫)がいる場合は、配偶者とともに縁組をすることになります。
法律的な親子関係になるため、日本人の場合は養子の名字は養親と同じになり、また、養親が亡くなった場合は養子は養親の相続人になります。また、未成年者を養子にした場合は、養親が養子の親権者になるなどの権利や義務が発生する効力があります。
特別養子縁組とは
特別養子縁組は、縁組により実親子の関係が終了する養子縁組になります。
養子となる子の年齢は原則として15歳未満になり、養親は配偶者がいる人でなければできず、夫婦共同で縁組をすることになります。年齢については、どちらかの養親が25歳以上、もう一方は20歳以上でなければなりません。
特別養子縁組をする場合は、実親の同意が基本的には必要です。6か月間の監護期間を経て、問題ないことが確認できれば、最終的に家庭裁判所が特別養子縁組の成立を認めます。
特別養子縁組では、養子と養親との間に(実の親子と同様の)親子関係を成立させる制度になります。上記の通り、「特別養子縁組」では養子は実子同様の扱いとなることから、「普通養子縁組」と「特別養子縁組」とでは子が取得できる在留資格(ビザ)にも違いがあります。
「普通養子縁組」「特別養子縁組」の両方に共通して言えることとして、日本人が養子縁組をする場合は日本の法律にって判断されますが、当事者に外国人がいる場合は日本の法律だけでなく外国の法律によっても判断されます。
▶参考:法務省「養子縁組について知ろう」
養親の国籍・在留資格別に解説
養子が取得できる在留資格(ビザ)は、養親の国籍や在留資格によって変わります。
ケース① 養親が日本人の場合
養親が日本人の場合、養子縁組の種類や子の年齢によって取得できる在留資格が異なります。養親が日本人の場合は「日本人の配偶者等」か「定住者」が申請できます。
特別養子縁組の場合は「日本人の配偶者等」
「特別養子縁組」が成立している場合は、実子と同じ扱いになりますので「日本人の配偶者等」が申請ができます。
「日本人の配偶者等」の許可の条件としては、特別養子縁組が成立して親子関係があることが確認できること、日本で安定した生活が遅れることが見込めることがポイントになります。
「普通養子縁組」の場合は、「日本人の配偶者等」は申請できませんので別の在留資格を検討することになります。
養子が6歳未満の場合は「定住者」
普通養子縁組をしている養子が6歳未満の場合は、「定住者」の在留資格を申請することができます。
「定住者」を申請するポイントとして、養親の扶養を受けて生活することが挙げられます。
6歳未満の養子が申請できる「定住者」は告示7号という類型になりますが、似たような別の定住者の類型の告示6号では、配偶者(妻・夫)の連れ子を呼ぶことができるものがあります。配偶者の連れ子(妻・夫の前の配偶者との子ども)の場合は、未成年(18歳未満)かつ未婚の実施であって、親の扶養を受けて生活することが条件となる在留資格になりますが、この場合は養子縁組の成立は条件にはありません。
養子が6歳以上の場合
養子が6歳以上の場合は「定住者」を申請することはできません。一般的に6歳以上の年齢は日本では小学校などの学校に通うことが多いかと思いますので、学校に通う場合には「留学」の在留資格を申請します。学校に通う年齢ではなく就職をする年齢の場合には、就労ビザを検討します。
ケース② 養親が「永住者」「定住者」の場合
養親が「永住者」、1年以上の在留期間を指定されている「定住者」の場合は、養親が日本人の場合と同じく6歳未満の場合は「定住者」、それ以上の場合は別の在留資格を検討します。
養子が6歳未満の場合は「定住者」
養子が6歳未満の場合は、「定住者」の在留資格を申請することができます。
「定住者」を申請するポイントとして、養親の扶養を受けて生活することが挙げられます。
6歳未満の養子が申請できる「定住者」は告示7号という類型になりますが、似たような別の定住者の類型の告示6号では、配偶者(妻・夫)の連れ子を呼ぶことができるものがあります。配偶者の連れ子(妻・夫の前の配偶者との子ども)の場合は、未成年(18歳未満)かつ未婚の実施であって、親の扶養を受けて生活することが条件となる在留資格になりますが、この場合は養子縁組の成立は条件にはありません。
養子が6歳以上の場合
養子が6歳以上の場合は「定住者」を申請することはできません。一般的に6歳以上の年齢は日本では小学校などの学校に通うことが多いかと思いますので、学校に通う場合には「留学」の在留資格を申請します。学校に通う年齢ではなく就職をする年齢の場合には、就労ビザを検討します。
ケース③ 養親が就労ビザの場合
養親が就労ビザ(例えば、「技術・人文知識・国際業務」「経営・管理」「技能」「教育」「教授」「興行」「高度専門職」「特定技能2号」など)の場合は、養子は「家族滞在」が申請できます。「家族滞在」の場合は、「日本人の配偶者等」と異なり「普通養子縁組」でも申請が可能です。
「家族滞在」の申請のポイントとして、養親の扶養を受けて生活すること、安定した生活を送るだけの収入が養親にあることになります。「家族滞在」の場合、「養子」であれば何歳でも申請可能とはされていますが、一般的に年齢が高くなればなるほど難しくはなります。「扶養を受ける」ことが前提になりますので、自立が可能な年齢で自立をしたい場合は就労ビザを検討したほうがよい場合もあります。
また、今まで養親と養子が別々に暮らしており、扶養を受けてこなかった場合で、これから日本で扶養を受けることになった場合には、筋の通る理由の説明が必要です。養子という立場を利用した出稼ぎを疑われると、不許可になる可能性が高くなると思います。
まとめ
以上、外国籍の養子が在留資格(ビザ)を取ることができるかの説明をしました。
養子の場合、養親の国籍や在留資格、養子縁組の種類によっては「日本人の配偶者等」「定住者」「家族滞在」を申請できる場合があります。中でも「定住者」については年齢制限があります。養子が6歳以上の場合は、留学ビザや就労ビザを検討することになります。
【行政書士からのアドバイス】
養子の場合は、状況によって申請する在留資格(ビザ)が変わります。配偶者の連れ子の場合には養子縁組をしなくても在留資格が取れる場合もあります。
どの在留資格が日本での生活においてベストであるかは、養子の状況次第になります。お気軽にご相談ください。